2020 Fiscal Year Annual Research Report
水中LIBS分析のスペクトル変動機構の解明と同時多元計測相関解析による高精度化
Project/Area Number |
20H02764
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
作花 哲夫 京都大学, 工学研究科, 教授 (10196206)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 直哉 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10372567)
松本 歩 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教 (30781322)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 水中レーザー誘起ブレークダウン分光法 / 水中LIBS / キャビテーションバブル / レーザービーム透過プローブ法 / 発光強度 / 衝撃波 / 自己吸収スペクトル / 相関解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
水中LIBSにおけるレーザープラズマや気泡に関係するパラメータとスペクトル線強度との相関関係に着目して研究を行なった。照射によって生じる気泡の大きさ(レーザービーム透過プローブ法(LBTP)で測定)、生成したプラズマからの全発光強度、および発光スペクトル線強度を同時計測した。照射レーザーパルスの幅は40 nsおよび100 nsとし、ターゲットは水中のアルミニウムとした。発光スペクトル線強度の測定は、Al原子の394 nmと396 nmの微細構造分裂線を対象とした。これにより、以下の成果を得た。 (1)LBTPのプローブ光の散乱強度がパルス照射から1 μsの間に示すピークは衝撃波の通過に帰属されることを明らかにした。ただし、より早く気泡が生成することが知られている100 nsパルスでの照射の場合に、40 nsの場合と比べて大きな散乱強度となったことから、衝撃波によるピークを示す早い遅延時間でも散乱強度はその時間における気泡の大きさを反映することがわかった。 (2)LBTPによる散乱強度と全発光強度の相関を調べたところ、照射パルス幅が100 nsあるいは40 nsといったように異なる場合でも、両者には正の相関があった。強い発光を得るためには照射直後の早い時間領域で大きな気泡を得る方策を講じることが有効であることを見出した。 (3)Al原子のスペクトル強度比(I394/I396)は自己吸収が大きいときには1に近い値を示し、自己吸収が小さくなると0.5に近づく。このスペクトル強度比とLBTPの散乱強度の相関を調べたところ、負の相関があった。このことは、気泡が大きいときにはプラズマが膨張しやすく、自己吸収が小さいより希薄なプラズマが生成しているためであると考察した。 以上より、照射直後の気泡の大きさをスペクトルと同時に測定することにより、スペクトル強度が規格化できる可能性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
通常のLIBS計測に加えてLBTP法による気泡の大きさの測定を同時に行うことで、当初の目標である気泡の大きさ、発光強度、スペクトルの三者の相関を実験的に求め、スペクトルのばらつきの補正に関する示唆を得るところまで達成できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
発光強度に直接的に影響していると考えられるプラズマパラメータを調べる。特に、プラズマ温度および発光種ポピュレーション密度に着目し、それらがばらつくことによる発光スペクトル強度のばらつきを理論的に計算し、実験と比較する。また、プラズマ温度および発光種ポピュレーション密度以外の要因についても検討する。さらに、ばらつきの原因に特定された因子(プラズマパラメータ)と制御パラメータとの関係を調べることで、水中LIBSにおけるパルスごとのばらつきを低減させる方法を提案する。
|
Research Products
(6 results)