2021 Fiscal Year Annual Research Report
水中LIBS分析のスペクトル変動機構の解明と同時多元計測相関解析による高精度化
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20H02764
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
作花 哲夫 京都大学, 工学研究科, 教授 (10196206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 直哉 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10372567)
松本 歩 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教 (30781322)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水中レーザー誘起ブレークダウン分光法 / 水中LIBS / その場元素分析 / 誤差伝播 / 相関解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
水中レーザー誘起ブレークダウン分光法(水中LIBS)では、発光スペクトル強度がパルスごとに大きくばらつくことが、定量元素分析への応用における最も大きな障害となっている。本研究では、金属板をターゲットとした水中LIBSにおける発光スペクトル強度とその分散を、照射レーザーパルスのフルエンスの関数として測定した。ばらつきの指標である変動係数は、あるフルエンスで最小値を示した。プラズマ中の被測定原子の密度と原子励起温度のばらつきが伝播することで、ボルツマン分布にもとづいて決まるスペクトル線強度がばらつくと仮定し、原子密度と原子励起温度の誤差伝搬解析を行った。その結果、低フルエンスでのばらつきは原子密度と原子励起温度の変動が伝播したことで合理的に説明できたが、高フルエンスでの照射の場合には、密度と温度のばらつきが伝播するだけではスペクトル線強度のばらつきが説明できなかった。高フルエンス照射では、上記の解析では考慮されていない自己吸収効果がパルスごとにばらつき、それがスペクトル線強度に伝播することを考慮する必要があった。なお、原子密度と温度は負の相関関係を示した。照射パルスエネルギーがターゲットのアブレーションに使われた場合は原子密度増加に寄与し、プラズマの加熱に使われた場合には温度上昇に寄与することを考慮すると、得られた負の相関関係はパルスエネルギーのうち一方に寄与する部分が増えると他方に寄与する部分が減るという関係を表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水中LIBSの発光スペクトル強度のばらつきの原因を誤差伝播の計算により求める方法を示し、自己吸収がパルスごとに大きく変動することの影響が大きいことを示唆する結果を得たところまで達成したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、これまでに得られた成果をもとに、自己吸収の効果も含めたモデルにもとづいてばらつきの原因を解明し、定量分析法としての精度向上の方策を検討する。
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Research Products
(16 results)