2020 Fiscal Year Annual Research Report
General approach for analysis and control of the specific PPI using functionally-modified DNA/RNA aptamers
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20H02769
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
井原 敏博 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (40253489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝田 陽介 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (50632460)
北村 裕介 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (80433019)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | タンパク質間相互作用 / PPI / アプタマー / 進化分子工学 / 光制御 / 希土類錯体 / DNAサーキット |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質間相互作用(PPI)の研究の重要性は広く認識されており、この極めて多様で複雑な研究対象に対応できる汎用の研究法の開発が望まれている。 本研究では標的タンパク質に結合して関連するPPIと競合する核酸アプタマーを独自の手法で選択的に取得し、そのアプタマーを用いた標的PPIの新規 a)モニタリング、および b)可逆的制御法を提案する。 初年度である令和2年度は、二分割された緑色蛍光タンパク質(GFP)、いわゆるスプリットGFPの片方のタンパク質を標的としてアプタマーを取得した。また、取得したRNAアプタマーの末端にはアントラセンを化学修飾する。さらに、RNAアプタマーの部分配列に相補的な核酸(DNAでも人工核酸でもよい)の末端にも同様にアントラセンを修飾し、両者がハイブリダイスするとアントラセン同士が近傍に配置されるような分子設計とする。光照射によりアントラセン同士が二量体を形成することでアプタマーと相補鎖は架橋する。二本鎖がヘアピン構造に変換されることで熱的に著しく安定化することが期待される。すなわち、アプタマーが光二量化によりタンパク質から解離することになり、競争反応であったPPI(GFPの再構成)が進行することを期待した。 スプリットGFPは東京大学の小澤氏から提供を受けた。定法のSELEXにより幾つかのRNAアプタマーを取得し、その中からGFPの再構成を強く阻害するものをピックアップした。現在、それらのRNAアプタマーの末端へのアントラセンの化学修飾に取り組んでいる。アプタマー末端の20量体を化学合成し末端にアミノ基を導入した。アントラセンカルボン酸の活性エステルとのカップリング反応によりアントラセンを修飾した。残りのアプタマーシークエンスは酵素合成し、両者をT4リガーゼでライゲーションすることにより目的とするアントラセン修飾RNAアプタマーを調製する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定どおりに、スプリットGFPの片方のペプチドを標的としたRNAアプタマーを取得することができた。そのうちの幾つかのアプタマーに関してはGFPの再構成を強く阻害した。すなわち、アプタマーがスプリットGFPのPPI面に結合してPPIを競争的に阻害していると考えらえる。現在、アプタマー末端にアントラセンを修飾している。 当初、スプリットGFPの発現に苦労したが、ベクター、および精製方法などを適宜変更することで、二つのペプチドユニット(スプリットGFP、GFP1-10とGFP11)を得ることができた。両者は再構成により発光することも確認した。最初に、分子量の大きなユニットGFP1-10に結合するRNAライブラリーを得て、GFP11で競争的に追い出すことで再構成と競合するアプタマーを選択的に取得する方法(排除選択)を試みたが、両GFPユニット間の相互作用は期待したほど強くなく取得に成功しなかった。次に小さなペプチドユニットGFP11についてのアプタマーを通常のSELEXによって取得した。小さなユニットへの結合であればどのようなアプタマーでも再構成を阻害すると考えたためである。 計画段階では想定していなかった幾つかの困難はあったが、現在までのところ、上手く解決しており、研究はほぼ予定どおり進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
二量化反応とPPI阻害:T4リガーゼによりアントラセン修飾RNAアプタマーとその相補鎖を合成する。相補鎖にもアントラセンを修飾する。アプタマーと相補鎖との二本鎖に光照射してアントラセンの二量体形成を介したヘアピン構造を得る。光照射前の二本鎖と照射後のヘアピン構造の熱安定性を評価する。次に、PPIを光駆動するためのチューニングを行う。GFP11に対して、GFP1-10とアプタマーは互いに排他的、あるいは競合的に結合するが、光照射によってはじめてPPIが駆動するような条件を探す必要がある。イオン強度、温度、相補鎖の長さなどを系統的に変化させて条件の最適化を行う。 ガン関連遺伝子の転写制御:K-Ras/FTaseやp53/HDM2のPPIを標的とする。いずれかのタンパク質に対するRNAアプタマーを排除選択プロセスを導入したSELEXにより取得する。 PPIモニタリング系1の構築:RNAアプタマーと相補鎖末端に発光性希土類錯体を形成するためのリガンド(それぞれ、PhenとEDTAなど)を化学修飾する。リガンド修飾アプタマーを競合する標的PPIによって追い出す。相補鎖と二本鎖を形成すると同時に発光性の希土類錯体が生成する。標的PPIによりはじめて二本鎖を形成する条件を設定することで時間分解発光測定によりPPIを高感度にモニタすることができる。 PPIモニタリング系2の構築:アプタマーを競合する標的PPIによって追い出す。ハイブリダイゼーション連鎖反応(HCR)などのDNAサーキットがPPIによってリリースしたアプタマーにより駆動するような系を設計する。増幅型のPPI検出系となることが期待される。
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Research Products
(15 results)