2021 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the pollution mechanisms of unregulated chemicals originated from the household products in the aquatic environment
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20H02777
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
寺崎 正紀 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (10363904)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 藻類生長阻害試験 / 生活関連物質 / 生態リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は臭素化パラベンによる生態影響を把握するため、水圏生産者である藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)を用いた72時間生長阻害試験を実施した。EC50値はメチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジルの各一臭素化パラベンに対して7.1 mg/Lから20 mg/Lの範囲、同じく二臭素化パラベンに対して21 mg/Lから1.0 mg/Lの範囲となった。概ねパラベンのアルキル置換基の増加とともに生長阻害の影響が高まること、また臭素の置換数が多いほど生長阻害が強まる傾向が判明した。無影響濃度については、河川での検出が報告されている一臭素化プロピルパラベンが1.6 mg/L以下、一臭素化ベンジルパラベンが0.75 mg/L以下、二臭素化ブチルパラベンが0.83 mg/L、二臭素化ベンジルパラベンが0.55 mg/Lとなり、これらの毒性データから初期リスク評価を実施する予定である。一方で、一臭素化メチルパラベンおよび二臭素化メチルパラベンについては、生長速度は最高曝露濃度のみで有意な阻害が認められた。さらにこれらの化合物では10 mg/Lより低濃度の曝露において藻類の生長速度が有意に増加することも明らかになった。このほか二臭素化エチルパラベンおよび二臭素化プロピルパラベンについては、濃度依存的に阻害傾向がみられるもののいずれの曝露濃度においても有意差は検出できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り生態影響に関するデータを入手できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
生物に取り込まれたときの代謝変換物やそれらの毒性変化に着目して、研究を進める予定である。
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