2021 Fiscal Year Annual Research Report
Polymer reaction based on the cyclic monomers with dynamic nature
Project/Area Number |
20H02783
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
青木 大輔 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (80736950)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 環状高分子 / 動的共有結合 / ラジカル / 架橋 / 解架橋 / ジスルフィド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、動的特性を有する環状化合物が生み出す特異な「構造再編成」を利用することで、従来の手法では達成することができなかった高分子・超分子の合成法を確立する。本年度は、熱によってその動的特性を制御可能な(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)ジスルフィド(BiTEMPS)を1つのみ有する大環状化合物を合成する手法を高分子へと応用することで種々の環状高分子の合成に成功した。得られた環状高分子の動的な特性を用いて三次元的に架橋することで環状高分子を架橋高分子へと変換することにも成功した。以下にその詳細をまとめる。本研究課題の基盤技術であるBiTEMPS骨格を用いた構造再編成において、環化させたい構造が「低分子」であれば再結晶やカラムクロマトグラフィーにより不純物である末端構造を除去することができる。一方、環化させたい構造が「高分子」であると、末端構造の除去は困難となり主生成物中に一部線状高分子が不純物として残る。そこで不純物として存在する直鎖状高分子の末端に反応性部位を導入し、反応性の微粒子と反応させた。結果、不純物である線状高分子を不溶成分とし除去することで環状高分子のみを単離することに成功した。本手法を4分岐高分子へと適用することで、2つの環状高分子が連結した8の字型高分子の合成にも成功した。得られた「環状高分子」はBiTEMPS構造を1つ、「8の字型高分子」は2つその分子骨格中に有している。それらを所定の比率で混合し、バルク状態で加熱することで種々の架橋高分子を得た。本系において得られる架橋高分子の架橋密度は「8の字型高分子」の濃度に依存しているため、その比率を変換することで架橋高分子の物性を制御することにも成功した。得られた架橋高分子は、希釈して加熱することで解架橋が進行することもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
熱によってその動的特性を制御可能な(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)ジスルフィド(BiTEMPS)を1つのみ有する種々の環状高分子の単離に成功したことで、それらを用いた発展研究をより円滑に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は動的な環状高分子や架橋高分子を合成する手法を開発することができた。今後は得られた架橋高分子の精密修飾についても検討することで、新しい架橋高分子の修飾法の確立と架橋高分子の機能化を達成する。
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Research Products
(7 results)