2020 Fiscal Year Annual Research Report
均一オリゴマーライブラリーを基盤としたプラスチック抗体の開発
Project/Area Number |
20H02789
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
星野 友 九州大学, 工学研究院, 准教授 (40554689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 佳子 九州大学, 工学研究院, 教授 (00335069)
小出 裕之 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (60729177)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 均一オリゴマー / プラスチックアプタマー / プラスチック抗体 / 分子認識 / 量体分離 / ブロック重合 / 制御ラジカル重合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目標は、任意の抗原に対して強く特異的に結合可能な、モノクローナルプラスチック抗体を合成するプラットフォーム技術を開発することである。抗体は、Fab鎖の相補性決定ドメインの超可変領域 (CDR)に 複数のオリゴペプチドを提示することで多様な抗原分子を多点認識し、強く特異的な結合を実現している。各オリゴペプチドのアミノ酸側鎖が 標的分子表面に存在する官能基と静電相互作用、疎水性相互作用および水素結合により多点相互作用することで強く特異的な結合を実現している。 本研究では、市販の汎用性の機能性モノマーの精密ラジカル重合により調製したオリゴマーを抗体のCDRの代替とし、これを複数組み合わせ て一つの高分子鎖あるいはナノ粒子の表面に提示することで高い分子認識能を有するプラスチック抗体を実現することを目指した。 今年度は、可逆的付加開裂連鎖移動ラジカル重合法を用いて疎水性、芳香族性、アニオン性のモノマーを用いて完全に量体分布の狭いオリゴマーを重合し、これをクロマトグラフィーで分離することで完全に量体数が均一なホモオリゴマーライブラリーを作成した。さらにこれらのホモオリゴマーライブラリーを連鎖移動剤として、二種類目のモノマーを同様に重合・精製することで完全に量体数が均一な、ジブロックオリゴマーライブラリーを合成した。さらに、標的分子を固定化した固定相を用いてランダム共重合体をアフィニティー精製することで標的分子に強く結合するオリゴマーを単離できることを明らかにした。また、ブロック共重合体おブロック配列が標的ペプチドとの相互作用に強く影響することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していなかったアフィニティー精製法を用いることにより標的分子と強く相互作用するオリゴマーが単離買おうであることを明らかにし、これを論文発表した。また、ブロック共重合体のブロック配列が標的ペプチドとの相互作用に影響することを発見し論文発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の検討により完全に分子量と配列が均一なオリゴマーを単離可能となったが、これらのオリゴマー主鎖には、量体数の数だけ不斉炭素が存在し、多くの立体異性体が存在する。真に特異的な相互作用を実現するためには、立体構造まで均均一なオリゴマーを特定し再現性良く合成する技術の開発が必要である。そこで最適なモノマー配列を有するオリゴマーをキラルカラムで分離することで完全に立体構造が均一なオリゴマーライブラリーを調製する。具体的には、量体数が規定されたtertブチルアクリレート、tertブチルアクリルアミドおよびフェニルアクリルアミドのオリゴマーを合成、単離し、これをキラルクロマトグラフィーに供することで不斉分割を行う。不斉分割された完全均一オリゴマーを連鎖移動剤として、二種類目のモノマーを伸長し、逆相クロマトグラフィー等によりジアステレオマー分割することで完全に構造が均一な多官能性のオリゴマーを分取する。また、今後は水溶性モノマーを水中で重合し、水系のクロマトグラフィーで分離する手法を確立する。さらに、これらのオリゴマーが立体構造特異的な分子認識能を示すことを明らかにする。また、複数のオリゴマーを一つの粒子に提示する手法の開発をおこなう。
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