2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Monodisperse Block Polymers for High Precision and High Resolution Nanofabrication
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20H02792
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
磯野 拓也 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (70740075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 敏文 北海道大学, 工学研究院, 教授 (80291235)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 単分散ポリマー / ブロックポリマー / ミクロ相分離 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、単分散ブロック共重合体(BCP)の自己組織化により各種工学的応用に求められる非対称ラメラ構造やネットワーク状相分離構造などの非古典的ミクロ相分離構造を10 nm以下の超微細領域で発現・制御することを目的としている。さらに、この成果を基礎とすることで、既存BCPでは実現できなかった半導体回路パターンの構築やナノポーラス材料の精密構造制御などに応用することを最終目標とする。今年度は、下記の二点について重点的に検討を行った。 ①ネットワーク状相分離構造の構築:昨年度までに、オリゴ糖とテルペノイドからなる単分散BCPがネットワーク状相分離構造を形成することを見出した。本年度はネットワーク構造と分子構造の相関を深く理解するため、ブロック間をつなぐリンカー構造や炭化水素部のキラリティーの影響に着目した。リンカー部分をこれまでの脂肪族炭化水素からベンゼン環に置き換えたところ、より広い温度範囲でHPLを形成できることが分かった。さらに、炭化水素部位のキラリティーの影響を検証した結果、バルク中での自己組織化には大きな影響は見られないものの、薄膜中ではラセミ体よりも光学活性体のほうが高度に配向制御されたジャイロイド構造を導くことを見出した。 ②ナノポーラス材料合成への応用:①の検討により、糖鎖含有BCPはネットワーク状相分離構造を構築するプラットフォームとして有用であることが判明した。この構造体をナノポーラス材料合成へ応用するため、糖鎖と無機高分子(低分子量PDMS)からなるBCPを新規に合成した。糖鎖体積分率を最適化することで、薄膜中において高度に配向制御されたジャイロイド構造の構築に成功した。このジャイロイド薄膜を反応性イオンエッチングすることで糖鎖ドメインを除去すると同時にPDMSドメインをシリカへと変換した。エッチング後の薄膜もジャイロイド構造を維持していることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
単分散BCPを用いることで、ネットワーク状相分離構造をバルク中で構築できただけに留まらず、薄膜中において極めて高度に配向制御されたジャイロイドやHPL構造を構築できたことは特筆すべき成果である。また、ネットワーク構造を安定性を向上させる分子設計指針も確立しつつある。さらなる検討が必要な段階ではあるが、ジャイロイドとHPL以外のネットワーク構造の形成を示唆する結果も得られており、糖鎖含有単分散BCPがネットワーク構造を構築するプラットフォームとして大変優れていることを見出した。加えて、無機高分子との組み合わせによりネットワーク構造を実際にナノポーラス材料へと変換することにも成功した。以上より、本研究は当初の計画以上に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまで得られてきた糖鎖含有単分散BCPに関する知見をもとに、三元系の単分散ブロックポリマーへと展開して三成分からなるネットワーク構造などの構築へ挑む。さらに、これまでの検討において、ジャイロイドやHPL以外のネットワーク構造やその他の複雑なミクロ相分離構造の形成を示唆する結果が得られているため、さらなる検討を続けることで単分散BCPによる非古典的ミクロ相分離構造の構築について知見を深める。
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Research Products
(20 results)