2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H02797
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宇山 浩 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (70203594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徐 于懿 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (10757678)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バクテリアセルルース / 導電性高分子 / 複合材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
バクテリアセルロース(BC)ゲルは面方向においては均一なナノサイズのネットワーク構造を有するが、厚み方向にはミクロンサイズの層状構造をもつという異方性を有する。本研究はBCの特異な構造・性質を元に、BCの層間に刺激応答分子を挿入・固定化することにより、外部刺激に応答して一次元的に膨潤・収縮する材料を開発する。今年度はBCのセルロースナノファイバー(CNF)表面を導電性高分子で被覆することで、高含水率かつ高導電性、さらには異方導電性を示すハイドロゲルを開発した。BCを塩化アクリロイルと反応させることでアクリロイル基導入BC (AcBC) ゲルを得た。次にAcBCゲルを4-スチレンスルホン酸ナトリウム水溶液に浸漬し、ラジカル重合することでBCゲルのCNF表面にポリ(4-スチレンスルホン酸ナトリウム) (PSS) をグラフト化した (BC-g-PSS)。続いて、BC-g-PSSゲルを3,4-エチレンジオキシチオフェン (EDOT) の水-DMF分散液に浸漬し、酸化重合することで目的の導電性ハイドロゲル (BC-g-PSS/PEDOT) を得た。導電性ハイドロゲルBC-g-PSS/PEDOTの内部構造をSEMで観察した。CNFの直径の増加が認められ、CNF表面がPEDOT/PSS層によって被覆されていることが示唆された。四端子法による導電率測定から、最大で0.3 S/cmの高い導電率を示す一方で、含水率も93%以上保持していることがわかった。CNFをPSSで化学修飾せずにPEDOT/PSSをBCゲル内で合成したところ (BC-PEDOT/PSS)、含水率は保持したが、導電率は大幅に低下した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時間軸としての進捗は多少の遅れが生じたが、BCゲルのCNF表面を導電性高分子で被覆することで、高含水率、高導電性、高強度を併せ持つハイドロゲル電極を作製した。また、CNFの積層構造を利用した導電率の異方性が発現することを示した。このようにBC複合材料に興味深い性質が見出されたため、本研究は概ね計画通りに進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年度の計画を繰越制度を活用して予定通りに研究を実施できたので、3年目も計画通りに実施する予定である。
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