2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of shape control technology of liquid droplet based on liquid marble engineering
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20H02803
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤井 秀司 大阪工業大学, 工学部, 教授 (70434785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 哲 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80402957)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リキッドマーブル / 液滴 / 気液界面 / 高分子粒子 / 吸着 / 多面体構造 / ハンドリング / 形状制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、液滴と粒子のサイズが同等の次元において、高分子粒子によって安定化されたリキッドマーブルを作製し、その形状・構造、安定性について科学的理解を行うことにある。令和3年度は、下記3項目について検討を行った。 1.安定化剤の作製および構造・物性評価:板状(2次元)および立体形状(3次元)の(サブ)ミリメートルサイズの高分子粒子を作製し、その形状、サイズ、表面化学を評価した。粒子は以下の2つの方法で作製した。(a)高分子フィルムを金型で打ち抜く方法(2次元)、(b)高分子板からフライス盤を利用して切削する方法(3次元)。作製した粒子に対して、シランカップリング剤を用いて表面疎水化および親水化処理を行った。さらに、生成粒子の形状、サイズ、臨界表面張力、表面化学を評価した。 2.リキッドマーブルの作製および形状・構造、安定性評価:上記項目で作製した疎水的表面を有する高分子粒子の乾燥粉体上で水滴を転がすことで、液滴表面に粒子が吸着したリキッドマーブルの作製に成功した。板状粒子の系では、液滴に対して粒子のサイズが小さい場合、扁球状のリキッドマーブルが生成し、液滴と粒子のサイズが同等の場合、多面体構造を有するリキッドマーブルが生成することを明らかにした。一方、立体形状を有する系では、粒子が底面および側面が水滴表面に吸着して安定化された表面凹凸を有するリキッドマーブルが生成することを明らかにした。また、リキッドマーブルは乾燥とともに、形状を変化させることを明らかにした。 3.リキッドマーブルの形成メカニズムの解明:粒子の吸着挙動をハイスピードカメラで撮影したところ、粒子は、ぬれ現象に基づいて水滴表面に吸着していることが明らかになった。また、横毛管力を駆動力として粒子が界面で配列している可能性を示唆する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度の研究計画通り、板状(2次元)および立体形状(3次元)の(サブ)ミリメートルサイズのリキッドマーブル安定化剤を合成し、リキッドマーブルの形成性、形状・構造、安定性、形成メカニズムについて知見を蓄積した。計画通り目標を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度も、研究分担者との連携を通じて、液滴と粒子のサイズが同等の次元において液体と固体が形成する組織体(リキッドマーブル)の構造、形状制御性について理解の深耕に努める。具体的には、下記の点について研究を推進する。 1.安定化剤の作製および構造・物性評価:ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムから、カッティングプロッターを用いて、円形、五角形等の板状粒子を切り出すことで2次元安定化剤を作製する。また、PET板をフライス盤を使用して切削し、円柱、四角錐等の3次元形状を有する粒子を作製する。作製する粒子の表面疎水化処理を行うことで、種々の親水性・疎水性バランスを有する粒子を合成する。 2.リキッドマーブルの作製および形状・構造、安定性評価:リキッドマーブルの形状、液滴表面における粒子配列構造、被覆率、粒子吸着数および粒子の変形を、実体顕微鏡、光学顕微鏡を使用して評価する。 3.リキッドマーブルの形状制御:予備実験において、リキッドマーブルを物理的に合一させることで、リキッドマーブルサイズの拡大が可能であり、さらに、外部から機械的な応力を印加することで、直線および曲線を有するリキッドマーブルに成形可能であることを確認している。リキッドマーブル表面に導入可能な曲率、角度範囲を精査し、形状と内部液のラプラス圧との相関関係を明らかにする。ラプラス圧は、ガラスキャピラリー法により測定する。 得られた結果を取りまとめ、学会発表、論文投稿を行う。これまでに取得した知見と令和3年度に取得する基礎的データを有機的に繋げることで、リキッドマーブル工学に基づく液体ハンドリング法を確立したい。
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Research Products
(42 results)