2021 Fiscal Year Annual Research Report
Clarification of operation mechanisms of next-generation organic/perovskite hybrid devices
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20H02817
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松島 敏則 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 准教授 (40521985)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 金属ハライドペロブスカイト / LED / 外部量子効率 / 蛍光性有機分子 / エネルギー移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子において、通常は非発光性である三重項励起子を発光に利用するためには、高価なりん光性イリジウム化合物もしくは精密な分子設計が必要な熱活性化遅延蛍光性(TADF)化合物を用いる必要があった。ところが申請者は、蛍光性有機分子であるベンゾチアジアゾール誘導体(BTA)を導入した2次元ペロブスカイトを発光層としたLEDにおいて、平均で9.9%の高い外部量子効率が得られた。発光量子収率や光取り出し効率を考慮して、一重項励起子の生成効率を計算するとおよそ100%であることが分かった。つまりこの結果は、安価で材料設計が容易な蛍光性有機分子を用いても、りん光及びTADF型有機EL素子に匹敵する高い外部量子効率が得られることを示唆するものであり、将来的にディスプレイ及び照明産業に大きなインパクトを与える。しかし、蛍光性有機分子を用いても100%の一重項励起子の生成効率が得られる理由は未だ明らかにされていない。そこで本研究では、100%の一重項励起子の生成効率が得られる理由を解明することを目指す。2021年度は、数十から数百ピコ秒における超高速の時間分解過渡PLおよび過渡吸収測定等を行った。その結果、無機骨格で形成される励起子が蛍光性有機分子へとエネルギー移動していることを実験的に突き止めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PbBr無機層からBTA有機層へのエネルギー移動を評価するために超高速の時間分解過渡PL測定を行った。約400nmにおいてPbBr無機層からの発光が立ち上がり、その後、数十psの時間スケールで減衰した。PbBr無機層からの発光が減衰すると同時に、約550nmにおけるBTA有機層からの発光が立ち上がった。この結果は、PbBr無機層からBTA有機層へのエネルギー移動が生じていることを示すものである。光学的に不活性なフェネチルアミンを導入した2次元ペロブスカイト膜をリファレンスとして用いることにより、PbBr無機層からBTA有機層へのエネルギー移動の効率はおよそ100%であることを見出した。過渡吸収測定結果においても、PbBr無機層由来のピークが立ち下がると同時にBTA有機層由来のピークが立ち上がっていた。過渡吸収測定結果からもPbBr無機層からBTA有機層へのエネルギー移動が生じていることを明らかにした。2020年度に行ったエネルギー準位の精密測定結果を考慮すると次のようなプロセスが生じていると推測される。LED中の二次元ペロブスカイト膜に注入された電子とホールは、エネルギーギャップが小さなPbBr無機層を通って輸送され、再結合によりPbBr無機層で励起子が形成される。次に、PbBr無機層で形成された励起子はBTA有機層へとエネルギー移動され、発光に至る。PbBr無機層におけるbright励起子はdark励起子に変換されづらいために、bright励起子からBTAの発光性一重項励起子に100%の確率でエネルギー移動する。他方、PbBr無機層のdark励起子は、エネルギー移動距離が小さいためにBTAの非発光性三重項励起子へのエネルギー移動は生じにくくなり、その結果、従来よりも高いLED外部量子効率が得られる。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者が作製した有機とペロブスカイトのハイブリッド型の有機EL素子において100%の一重項励起状態の生成効率が得られた。その理由として、最初にペロブスカイト無機骨格で励起子が形成され、次にその励起子が蛍光性有機分子へとエネルギー移動することをこれまでに明らかにした。今後は、本システムをレーザーデバイスや太陽電池デバイスへと応用することに挑戦する。レーザー発振に必要な大電流を絶縁体である有機層に安定的に輸送させることは非常に難しい。本研究では、2次元型ペロブスカイトの有機層としてレーザー色素を導入する。キャリア移動度が高い無機層を介して大電流を輸送し、レーザー色素を発光させれば、安定的にレーザー発振させることができるようになると考えられる。さらに、本ハイブリッド構造を用いれば、長寿命で非発光性の三重項励起状態が形成されないために、レーザー発振閾値の低下や連続レーザー発振が実現する可能性がある。2次元ペロブスカイトの有機層としてp型及びn型有機分子を導入する。太陽光照射により有機層で生成された電子とホールをペロブスカイト無機層により効率的に電極に取り出すことができれば、新コンセプトのハイブリッド太陽電池が誕生する。
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[Journal Article] 2,6-Dicarbonitrile Diphenyl-1λ5-Phosphinine (DCNP);A Robust Conjugated Building Block for Multi-Functional Dyes Exhibiting Tunable Amplified Spontaneous Emission2021
Author(s)
Umamahesh Balijapalli, Xun Tang, Daichi Okada, Yi-Ting Lee, Buddhika. S. B. Karunathilaka, Morgan Auffray, Ganbaatar Tumen-Ulzii, Youichi Tsuchiya, Atula S. D. Sandanayaka, Toshinori Matsushima*, Hajime Nakanotani* and Chihaya Adachi*
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Journal Title
Advanced Optical Materials
Volume: 9
Pages: 2101122
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Improved Performance of Perovskite Solar Cells by Suppressing The Energy-Level Shift of The PEDOT:PSS Hole Transport Layer2021
Author(s)
Masayuki Yahiro*, Shun Sugawara, Shinichi Maeda, Yuko Shimoi, Pangpang Wang, Shin-ichiro Kobayashi, Kotaro Takekuma, Ganbaatar Tumen-Ulzii, Chuanjiang Qin, Toshinori Matsushima, Tadayuki Isaji, Yoshinori Kasai, Takashi Fujihara, and Chihaya Adachi
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Journal Title
ACS Applied Energy Materials
Volume: 4
Pages: 14590~14598
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] チエノキノイド分子配向薄膜トランジスタにおける冷間等方圧加圧による移動度向上2021
Author(s)
青山 哲也, 松島 敏則, 田中 利彦, Benoit Heinrich, Fabrice Mathevet, 村中 厚哉, 高石 和人, 内山 真伸, 松本 真哉, 山形 豊, 安達 千波矢, Jean-Charles Ribierre
Organizer
2021年第82回応用物理学会秋季学術講演会(オンライン)
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