2021 Fiscal Year Annual Research Report
High-performance lead-free perovskite solar cells by crystal growth control
Project/Area Number |
20H02819
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
宮寺 哲彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (30443039)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 伸伍 東北大学, 工学研究科, 准教授 (80732362)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ペロブスカイト太陽電池 / 鉛フリーペロブスカイト / 偏光赤外多角入射分光法 / 結晶成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
高効率かつ低コストな太陽電池として実用化が期待されているペロブスカイト太陽電池の分野において、毒性の懸念から鉛代替材料による太陽電池の開発が急務となっている。本研究ではこれまでに応募者らが開発してきた分子層レベルで組成制御が可能な精密結晶成長手法やリアルタイム薄膜成長解析手法を駆使してハイスループットな材料・素子開発を戦略的に推進し、環境負荷の低い鉛代替ペロブスカイト太陽電池の高性能化を実現する。 今年度はSnを用いた鉛フリーペロブスカイトの結晶成長機構解析を実施した。また、今後の素子開発に向けた知見を蓄積するためにこれまでに開発した結晶成長手法を駆使して鉛含有ペロブスカイトの素子開発を実施した。 東北大学において、SnI2とグアニジンよう化水素酸塩(GAI)から構成されるペロブスカイトの結晶成長機構を赤外分光法(垂直入射FT-IR、偏光赤外多角入射分光)を用いてリアルタイム解析した。垂直入射FT-IR測定から、成膜進行に従ってGAIのNH伸縮振動のピーク位置が変化していく様子が観察された。また、偏光赤外多角入射分光測定を用いて反応ダイナミクスを詳細に解析し、拡張指数関数型の時間変化が見出された。 産業技術総合研究所においては、これまでに高結晶性有機薄膜上に鉛ペロブスカイトを成膜することで結晶性の高い薄膜を構築する手法を開発してきた。当該手法を活用して実際に太陽電池を作製して特性の評価を行った。また、ハイスループットな材料・素子開発を実施するために成膜装置の改良を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鉛代替材料としてSnを用いたペロブスカイトの素子開発および結晶成長機構解析を推進している。素子開発においては、ハイスループット成膜装置を構築し、素子特性の組成依存性などを見出している。また、結晶成長解析についても偏光赤外多角入射分光法を用いたダイナミクス解析を実施し、成長メカニズム解明につながる重要な知見を得ている。 従って、研究は順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究展開として、Snを用いた鉛フリー材料を用いた太陽電池の開発とSn以外の有望材料の探索を実施していく。これまでに、ハイスループット成膜システム、偏光赤外多角入射分光システムを構築してきており、これらを利用した太陽電池素子開発および成膜ダイナミクス解析を行う。 鉛フリーペロブスカイト材料としてこれまではSnを用いた検討を行ってきた、今後はさらに、実験的な実績のあるBiなどの金属の他、量子科学計算により予測されているMg、Mn、Niなどの材料系を用い、各種ハロゲン、有機アミン材料との組み合わせを系統的に探索することで、高効率を発現する最適な材料組成を見出していく。これまでに検討してきたフォルムアミジニウムイオンやグアニジウムイオンに加えて、さらに、かさ高いアミン化合物も積極的に活用することで結晶構造の安定化を試みる。結晶構造制御を駆使することで、このような材料系でも効率のよい電荷輸送が実現可能となる。 構造的な観点からは、これまでに、ヨウ化スズとヨウ化グアジニウムから構成されるペロブスカイトの結晶成長ダイナミクスを偏光赤外多角入射分光法によって解析してきている。今後もSPring-8でのX線回折による結晶学的な解析および偏光赤外多角入射分光法による分子論的な解析を継続的に実施して成長ダイナミクスに関する知見を集積し、理想的な電荷輸送を実現する薄膜構造を得るための指針を得る。
|
Research Products
(6 results)