2022 Fiscal Year Annual Research Report
開いた異方的空間におけるラットリング現象の解明と,それを活用した熱電材料の創出
Project/Area Number |
20H02820
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 高広 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (10358260)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 熱電材料 / ラットリング / 超伝導 / ノーダルライン半金属 / 金属間化合物 / ジントル化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
結晶構造内のトンネル空間にNa原子鎖が内包された複数のSn系金属間化合物(Na-X-Sn系化合物, XはAl, Ga, In, Zn)が極めて低い格子熱伝導率と高い熱電特性を有することを明らかにした.さらに,各化合物のNa原子がトンネル伸長方向に沿って大きな振幅で振動(ラットリング)しており,Na原子間の距離が近い化合物ほど格子熱伝導率が低いことを実験的に見出した.これらNa原子の1次元的な振幅振動状態や,Naの原子間距離と格子熱伝導率との相関性は,格子動力学を取り入れた第一原理計算によっても説明され,ラットリング原子が近接することで熱伝導を担う骨格構造のフォノンの非調和性が増大し,格子熱伝導率が低下する機構が明らかになった. 超伝導物質NaAlSiの単結晶の磁気トルクや磁場中の電気抵抗率の測定によって,バルク超伝導と2次元超伝導体の共存が観測された.2次元超伝導体はバルク超伝導と異なる上部臨界磁場を有し,厚さは数nmと見積もられ,表面超伝導である可能性がある .NaAlSiと同型構造で類似した電子状態を有しながらも超伝導性を示さないNaAlGeの良質の単結晶の作製にも成功し,その電気抵抗と磁化率の測定から低温で擬ギャプが形成することを突き止めた.固溶体NaAl(Si,Ge)の単結晶を用いた系統的な測定結果と合わせて考慮することで,NaAlSiとNaAlGeの基底状態が大きく異なることが明らかになった.両化合物の基底状態を支配する要因が,電子-フォノン相互作用(NaAlSi)と電子-ホール相互作用(NaAlGe)と異なることを提唱した. 昨年度までの物質探索研究において見出した層状構造を有したNa-Mg-Bi系およびNa-Cd-Sb系化合物の単相の緻密焼結体を合成し,それらを用いて熱電特性を評価することで,各化合物の熱伝導率や無次元性能指数を明らかにすることができた.
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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