2021 Fiscal Year Annual Research Report
Feasibility Studies of Graphite as a Negative Electrode Material for Mg-Ion Batteries: Reconsideration from the Potentials of Counter Electrodes
Project/Area Number |
20H02840
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
清水 雅裕 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (90780601)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 黒鉛層間化合物 / 多価カチオン / ステージ構造 / 電解質組成 / 配位構造 / 活性化エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
元素戦略的に有利かつ2電子反応を活かしたマグネシウム二次電池は有望な蓄電池システムである.しかしながら,その負極においては,ほとんどがMg金属の析出 -溶解反応を用いたものに限定される.本研究では,従来のリチウムイオン電池負極材料として使用される黒鉛をホスト材料とし,その層間へのMgイオン挿入に ついて検討した.今年度は,これまでに溶媒和Mgイオンの挿入が認められた2つの系(0.25 M Mg(TFSA) in DMF, DMSO)について,黒鉛の結晶構造の変化を追跡し,電解質溶媒が三元系黒鉛化合物の電気化学形成挙動に与える効果を調査した.DMFを溶媒とする系では,stage-5の層間化合物の形成が認めれ,その層間が元の3.35 Åから10.87 Åまで著しく拡張したことを確認した.これに対し,DMSOを用いた場合でもstage-5の構造が得られたものの,その層間の拡張距離は8.06 Åにとどまった.DMFよりもDMSOの系において黒鉛層間の拡張距離がより小さかったのは,その分子サイズがより小さいことに起因すると考えられる.実際に,環状構造を有するECや2Me-THFなどを用いた場合では溶媒の還元分解のみが見られ,層間挿入反応は進行しなかった.また,三元系層間化合物が得られた系において,低電流密度条件下では秩序性を有する構造を示したのに対し,高電流密度域ではstage構造があまり発達しないことが分かった.これは層間中の溶媒和Mgイオンの拡散が極めて遅いことに起因するものと推察される.現在は,溶媒和Mgイオンの挿入-脱離反応の可逆率の向上および溶媒を含まないMgイオン単独の挿入反応の実現に取り組んでいる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
溶媒和Mgイオンではあるものの,黒鉛層間への挿入だけでなく脱離反応を進行させることに成功している.また,その溶媒和Mgイオンの挿入反応においては,使用する溶媒分子のサイズが大きく影響することを明らかにした.電気化学的解析において挿入反応の活性化エネルギーが小さいことが分かってきており,このことからも挿入イオン種が溶媒和Mgイオンであることが多角的に実証できた.当初より予定していたMg塩の対アニオンの検討や固体電解質の活用についても着手できており,順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
溶媒和Mgイオンの挿入-脱離反応における可逆率の低さが未だ課題ではあるが,電解液の還元分解により黒鉛表面に厚い有機無機被膜が形成されていることがXPS測定などで分かってきた.可逆率向上に資する電解液溶媒の探索を継続して行うことに加え,当初より予定していたMg塩の対アニオンの検討や電解液の不可逆的分解に向けて固体電解質を活用していく予定である.
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Research Products
(18 results)