2020 Fiscal Year Annual Research Report
Fluorescence-regulating techniques reveal translocation mechanisms of metabolism-related proteins
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20H02879
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀 雄一郎 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (00444563)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 蛍光プローブ / タンパク質ラベル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質の分解は、細胞の生理機能の制御に大きな役割を果たしている。一方、タンパク質が常時発現するため、タンパク質の分解のみを捉えるには、タンパク質合成を阻害する試薬を用い、発現を遮断したうえでウェスタンブロットにより検出する方法が取られることが多い。しかしながら、この手法では、細胞内の全タンパク質の発現を阻害し、目的タンパク質のみ発現を遮断することができないうえ、生きた細胞内でのタンパク質分解をリアルタイムに見ることもできない。本年度の研究では、この問題を解決するために、PYPタグのラベル化技術を用い、遊離状態では非蛍光性で、PYPタグを融合したタンパク質をラベル化すると蛍光強度が上昇し、そのタンパク質が分解すると蛍光強度が減少する新たなOFF-ON-OFF型蛍光プローブを開発した。プローブは、タグをラベル化するリガンド、蛍光色素、および脱離基を組込んで設計した。リガンド及び脱離基には色素の蛍光消光機能を導入しており、遊離状態及びタンパク質分解後に色素の蛍光が消光することを意図して設計した。また、ラベル化速度及び蛍光強度の変化を大きくするために、分子シミュレーションによりリガンドと色素のリンカーの長さを最適化した複数のプローブを設計した。これらのプローブを合成し解析したところ、タンパク質のラベル化時、分解時にそれぞれ蛍光強度が上昇し、減少することが確認された。また、細胞内でもタンパク質を特異的にラベル化でき、分解時に蛍光強度が減少する様子が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OFF-ON-OFF型応答を示す蛍光プローブの設計・合成が完了し、in vitro及び生細胞内におけるタンパク質のラベル化及び分解を蛍光検出できることが示された。タンパク質の特異性評価も終了しており、当初目標としていた研究はおおむね達成されたといえ、当該区分に該当すると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今回開発したプローブは、分子構造の改変によって細胞膜透過速度やラベル化速度に関しては、更なる向上が期待できる。今後は、リガンド構造の最適化によるラベル化速度や膜透過性、細胞内局在性に関して最適化したプローブの開発を検討する。また、プローブの多色展開を行い、タンパク質の動態変化や分解を詳細に明らかにする実験系の構築を行っていく。
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Research Products
(4 results)