2021 Fiscal Year Annual Research Report
Fluorescence-regulating techniques reveal translocation mechanisms of metabolism-related proteins
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20H02879
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堀 雄一郎 九州大学, 理学研究院, 教授 (00444563)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | OFF-ON-OFF型蛍光プローブ / マルチカラーイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究で、遊離状態では非蛍光性で、PYPタグをラベル化することで、蛍光強度が上昇し、PYPタグが分解すると蛍光強度が低下するOFF-ON-OFF型蛍光プローブの開発に成功している。この蛍光プローブは、PYPタグのリガンドとして7-ヒドロキシクマリン、蛍光色素としてフルオレセイン、脱離基としてジニトロベンゼンを導入した構造を持つ。遊離状態では、脱離基と色素が会合し、コンタクトクエンチングを引き起こすが、ラベル化するとその会合が解消され蛍光強度が上昇する。一方、タンパク質が分解すると色素はリガンドと会合し蛍光強度が抑制される原理を持つ。この原理が、フルオレセイン以外の色素に対しても応用できるかどうかを検証した。色素として、TAMRA、およびRhodolをプローブに導入したところ、それぞれのプローブは、遊離状態では非蛍光性で、PYPタグをラベル化すると蛍光強度が上昇し、タンパク質分解により蛍光強度が再度減少することが分かった。本年度は、更に、環境応答性蛍光色素を有する7-ジメチルアミノクマリンをPYPタグリガンドとして、PYPタグとより効率的に共有結合し、蛍光強度が上昇したうえ、タンパク質の分解に伴い蛍光強度が低下するプローブの開発にも取り組んだ。このプローブのラベル化速度や安定性を上昇させるために、PYPタグの反応部位でもあるCysに結合する新たな反応基であるクロロメチルケトンを持つ分子を開発した。さらには、色素の明るさを向上させるために、クマリンのジメチルアミノ基をアゼチジンに変更したプローブの開発を行った。これらのプローブの有機合成を行い、PYPタグと反応するかを検証したところ、ラベル化反応が進行し、それに伴い蛍光強度が上昇することが分かった。以上の結果は、タンパク質のマルチカラーイメージングに展開し、新たなラベル化ツールを提供するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OFF-ON-OFF型蛍光応答をする原理構築は、これまでに実施していたが、その汎用性については不明であった。本研究により、OFF-ON-OFF原理を適用できるのがフルオレセインだけでなく、他のキサンテン系色素にも応用できることが示され、マルチカラーイメージングへの展開を加速させることとなった。また、新たなPYPタグリガンドの開発にも成功しており、当初の計画通り概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発したOFF-ON-OFFプローブは、サイズが大きくラベル化速度には改善の余地がある。これは、色素が遊離状態で脱離基と会合するだけではなく、リガンドとも会合することで、リガンドとPYPタグの反応に支障があることを示している。このため、これまでに考案したものとは異なる原理でOFF-ON-OFF応答を引き起こすプローブの開発が期待される。本年度の研究で開発した7-ジメチルアミノクマリンをリガンドとしたプローブは、その問題を解決してくれると期待されるため、今後は、このプローブの更なる改良を行い、ラベル化速度を向上させ、ラベル化・タンパク質分解に伴う蛍光強度変化を最適化する。
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Research Products
(4 results)