2021 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄小脳変性症31型を標的とする低分子の作用機序解明と毒性リピートRNA機能抑制
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20H02880
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柴田 知範 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (80711960)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | RNA結合性低分子 / UGGAAリピート / RNA / 脊髄小脳変性症31型 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄小脳変性症31型(SCA31)は、TGGAAリピートの16番染色体への異常挿入が原因で発症する難治性疾患であり、挿入されたリピートから転写されるUGGAAリピートRNAが関与するRNA介在性神経変性疾患である。本研究では、UGGAAリピート結合性低分子(NCD)を手掛かりに、毒性リピートRNAが関与する発症機構及び低分子による毒性機能阻害機構を分子レベルで理解することにより、SCA31の発症機構の解明及び低分子を用いた治療法開発に資する有効な分子ツールの開発を目指す。 異常伸長したリピートRNAは、細胞核内ではRNA結合タンパク質を捕捉し、RNA凝集体を形成する。また細胞質ではリピートペプチドへと翻訳されるなどリピートRNAの細胞内局在により機能が異なるため、リピート結合低分子の細胞内局在は、低分子によるリピートRNAの機能阻害機構を理解する上で重要である。 2022年度の研究では、UGGAAリピート結合分子であるNCDの細胞内局在を解析するために、蛍光色素であるニトロベンゾオキサジアゾール(NBD)を標識したNBD-NCDを合成した。NBD-NCDとUGGAAリピートの相互作用を二本鎖融解温度測定、円偏光二色性測定、コールドスプレーイオン化質量分析、表面プラズモン共鳴法により調べたところ、NBD-NCDは、NCDよりもUGGAAリピートに対して低い結合親和性を示したが、UGGAAリピートに対する結合活性を保持していることが明らかとなった。NBD-NCDがUGGAAリピートに結合すると蛍光が消光することも明らかになった。また蛍光顕微鏡によるNBD-NCDの細胞内局在解析では、NBD-NCDが細胞質及び核内に分布していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、NBD-NCDの合成、UGGAAリピートとの相互作用解析、蛍光顕微鏡によるNBD-NCDの細胞内局在観察を実施した。NBD-NCDがUGGAAリピートへの結合活性を保持していることを確認するとともに、細胞内局在観察では細胞質及び核内にNBD-NCDが分布していることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA結合分子とUGGAAリピートの複合体の細胞内局在を明らかにするために、UGGAAリピートと蛍光標識RNA結合分子の局在を蛍光顕微鏡により観察する予定である。またNBD-NCDは、UGGAAリピートに結合すると蛍光が消光するため、蛍光標識RNA結合分子の最適化を行う必要がある。
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Research Products
(6 results)