2023 Fiscal Year Annual Research Report
アルキンタギングによる脳の病態生理学解明の新たなツールの開発と応用
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20H02881
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
塗谷 睦生 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (60453544)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アルキンタグ / 脳 / プローブ / 生理活性物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、脳内化学情報伝達様式の解析のため、蛍光標識ができない低分子量生理活性物質をアルキンにより標識して可視化解析することを試みるものである。研究最終年度の本年度は、昨年度までに開発に成功したペプチド性生理活性物質のアルキンタギング法を用い、オキシトシンおよび他のペプチド性生理活性物質の脳内動態の解析を試みた。 これまでに、オキシトシンのような生理活性ペプチドのアルキンタグ化法の開発に成功した(Nakamura et al. 2022)。第一級アミノ基修飾試薬でアルキンが付加されたNHSアルキンとペプチドと反応させ、未反応のNHSアルキンを不活性化し、そのまま使用可能なアルキンタグペプチド溶液を得る。これをマウスから調製する急性脳スライスに添加し反応させ、その後固定化し、アルキンタグペプチドの位置をアジド付加蛍光色素とアルキンの特異的なクリック反応により蛍光検出する。 本年度は、先に報告した海馬での局在に加え、脳組織の他の部位でのオキシトシンの結合様式の解析を行い、それぞれの部位における特徴的な結合様式を見出した。更に、この戦略を他の生理活性ペプチドへと展開し、オキシトシンと同様に分子量の小さなバソプレッシン、ブラジキニン、ダイノルフィンなどのアルキンタグ化を試みた。質量分析の結果から、これらのペプチドにアルキンが導入された、アルキンタグプローブ作成の成功が確認された。これらのアルキンタグプローブをマウスより調製した急性脳スライスに投与し、自由に挙動させた後、固定・クリック反応によりその部位の解析をした。ここから、これらの生理活性物質が、海馬において、それぞれ異なる分布を示すことが明らかとなった。今後の更なる解析により、これらの生理活性ペプチドの脳内での結合部位、ひいては作用部位の詳細の解明へとつながるものと期待される。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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