2021 Fiscal Year Annual Research Report
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20H02888
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木羽 隆敏 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (20532097)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 窒素飢餓 / 植物 / 窒素栄養 / 情報伝達 / 分子メカニズム / 窒素欠乏 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画で記載した内容のうち、「窒素飢餓応答制御に関わる新奇因子の探索」に注力した。申請者ら独自の窒素飢餓マーカーを指標に(a)変異体スクリーニング、(b)ケミカルスクリーニング、(c)Yeast one-hybridスクリーニングを行った。 (a)窒素飢餓レポーターライン(pNRT2.4:GUS)にEMSで変異を導入したM2集団(10,000系統相当)のスクリーニングを行った。その結果、窒素充足条件で栽培しているにもかかわらず、窒素飢餓応答レポーターが活性化される恒常的窒素飢餓応答変異体(cnsr)を5系統得た。また、窒素飢餓応答が抑圧された変異体を同定するためのスクリーニング条件を確立した。 (b)理研-ITbMの標準ライブラリーを用いて、窒素飢餓レポーター(pNRT2.4:GFP)を活性化または抑制する化合物のスクリーニングを行い、ヒット化合物候補を複数得た。しかし再現性や濃度依存性等を検討した結果、これらは真のヒット化合物ではなく、化合物の性質やスクリーニング系によるアーティファクト(偽陽性)であることが明らかになった。 (c) NRT2.4プロモーター上の窒素飢餓応答最小領域をbait、窒素飢餓条件で栽培したシロイヌナズナの根から抽出した全RNAをもとに作製したライブラリーをpreyとしてスクリーニングを行った。一次スクリーニングの結果、909の陽性コローニーを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年に所属機関の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における活動指針により研究室での活動が制限され、その遅れを取り戻せていないため。 具体的には、独自の窒素飢餓マーカーを指標にした(a)変異体スクリーニング、(b)ケミカルスクリーニング、(c)Yeast one-hybridスクリーニングが予定より遅れており、研究全体の進捗に影響している。スクリーニングは数をこなさなくてはならないため、人手や設備を増やさずに、遅れを完全に取り戻すのは困難である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響等により研究の進捗が遅れているため、当面は本研究の柱である「窒素飢餓応答制御に関わる新奇因子の探索」に注力する。当初計画していた「新奇・既知因子の役割分担と因子間の遺伝的関係の明確化」と「窒素飢餓応答制御メカニズムのイネとエノコログサにおける普遍性と多様性の調査」の項目については、「窒素飢餓応答制御に関わる新奇因子の探索」に目処がつき次第着手することとする。
具体的な推進方策は以下の通りの方針である。 (a)窒素飢餓応答が抑圧された変異体のスクリーニングを行う。cnsrについては、原因遺伝子の同定と、その分子生物学的機能解析を行う。 (b)現行のスクリーニング系では、約5%程度偽陽性が出てしまうことがわかったため、現在の実験系でのケミカルスクリーニングは中止する。 (c) 二次スクリーニングを行い、NRT2.4プロモーター上の窒素不足応答最小領域と相互作用する因子を同定し、その分子生物学的機能解析を行う。
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