2021 Fiscal Year Annual Research Report
窒素固定増強遺伝子によるマメ科作物の低炭素投入型への転換
Project/Area Number |
20H02890
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
鈴木 章弘 佐賀大学, 農学部, 教授 (50305108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 啓史 佐賀大学, 農学部, 講師 (40425541)
富永 晃好 静岡大学, 農学部, 助教 (50776490)
遠城 道雄 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (60194651)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ダイズ / 根粒菌 / 共生 / 窒素固定 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,申請者らが見出した窒素固定増強遺伝子(SEN1)に関して,窒素固定増強のメカニズムを理解することとそれを使ってダイズの生産性を向上させる(窒素肥料を削減する)ことである。今年度も昨年度に引き続き3つの小課題を遂行することによってそれらの達成を試みた。結果とともに以下に示す。 小課題1.ダイズの窒素固定増強遺伝子による肥料削減効果の検証:圃場にコンテナを設置してダイズを栽培する際に佐賀県推奨の窒素濃度に対して0, 50または100%とした場合の,ダイズの成長及び共生パラメーターの調査を行った。その結果,窒素の濃度の如何に関わらず,ダイズの成長や収量に差が検出されなかった。これは栽培のごく初期に大雨によって添加した尿素が流出してしまったことによると考えられた。一方,佐賀県推奨の条件による栽培では,エンレイ型が種子数の増加によって生産性が良好になっていることを確認した。 小課題2.ダイズの窒素固定増強遺伝子のリスト化と世界展開への準備:ダイズの日本のコアコレクションおよび世界のコアコレクションの塩基配列が公開されたため,SEN1遺伝子の塩基配列がどの程度分布しているのかの調査そ行った。その結果,エンレイ型SEN1を持っているダイズ系統は日本のコアコレクションおよび世界のコアコレクションの一割程度に過ぎないことが明らかになった。 小課題3. SEN1タンパク質の機能解析:ダイズのSEN1について,既に作出済みのNIL(窒素固定増強型,エンレイ型SEN1を持つ)と分離してPeking型を持つに到った系統に関して蛍光X線分析を行い,根粒内の相対鉄含量を推定した。その結果,窒素固定が増強されているエンレイ型の根粒の方がPeking型と比較して有意に鉄含量が高いことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いずれの小課題においても,想定していたことがある程度達成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
小課題1.ダイズの窒素固定増強遺伝子による肥料削減効果の検証:2021年度は降雨によって窒素濃度を0, 50または100%とした場合の圃場レベルでの生産性の評価が遂行できなかったためそれを行う必要がある。また,エンレイ型で生産性が向上した結果の再現性をっかう任する必要がある。 小課題2.ダイズの窒素固定増強遺伝子のリスト化と世界展開への準備:ダイズのSEN1遺伝子に関して,今まで多型が検出されているアミノ酸以外にも多型が存在することが判明したため,窒素固定に関してその影響の解析に着手する。 小課題3. SEN1タンパク質の機能解析:今までは蛍光X線分析によって鉄の相対含量を測定したが,絶対値を測定する必要がある。
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