2022 Fiscal Year Annual Research Report
開花期制御を実現するための栄養開花メカニズムの解明
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20H02892
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
田中 伸裕 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 主任研究員 (60646230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 岳洋 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (40579439)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 栄養開花 / 窒素 / GWAS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は土壌の栄養に開花期が影響を受けにくいロバストな作物の作出を目指している。開花期は穀物生産において最重要な農業形質の一つであり、開花期が揃わないことは、収穫作業の非効率化につながる。また、近年はイネでも利用されているハイブリッド育種において、2親の開花期が一致することは重要である。 我々は特に低窒素条件において開花期が促進する現象に着目し、その栄養開花機構と名付けて、そのメカニズムの解明を進めている。 2022年度は新たに作成した硝酸代謝に関わる転写因子の機能欠損体の表現型解析を行い、通常窒素濃度条件でのみ、野生型と比べて生育不良を示すことなどを明らかにした。 また異なる窒素濃度条件で栽培した野生型と、前述の硝酸代謝に関わる転写因子の機能欠損体を用いたRNA-seqを実施した。得られた発現データは現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GWASによって得られていた栄養開花制御に関わる候補遺伝子について、ゲノム編集による機能欠損体を複数のイネ品種で作成し、その開花応答を調査済みである。また、新たな栄養開花制御因子の探索を目指して、作成したゲノム編集個体を異なる窒素濃度環境下で栽培した時の発現データを取得した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に取得した低窒素条件のRNA-seqデータから、栄養開花に関わる新規遺伝子の同定を試みる。得られた候補遺伝子については、ゲノム編集を用いた機能欠損体を作出し、その機能解析を進める。 また、すでに同定している栄養開花制御因子である転写因子について、その下流因子の同定を試みる。具体的には転写因子にGFPを連結させたコンストラクト導入イネを作出し、GFP抗体を用いてChIP-Seqを行う。得られた候補遺伝子と、前述のRNA-seqデータの比較から、転写因子の下流で機能する新規栄養開花遺伝子を探索する。
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