2020 Fiscal Year Annual Research Report
酵母の呼吸代謝から発酵への転換におけるグルコース不活性化の総合理解
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20H02894
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
新谷 尚弘 東北大学, 農学研究科, 教授 (70374973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 翔貴 東北大学, 農学研究科, 助教 (70845099)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 出芽酵母 / グルコース不活性化 / 発酵 / 好気呼吸 / 膜輸送体 / エンドサイトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
酵母Saccharomyces cerevisiaeでは、グルコースなどの発酵性炭素源があると、酸素が存在していてもエタノール発酵が優先的に起こり、呼吸代謝は抑制される。グルコースが枯渇すると、転写因子Cat8支配下にある糖新生関連遺伝子群の転写が一気に活性化される。しかし、環境中に再びグルコースが流入してくると、これら遺伝子群の転写が抑制されると共に、それらの翻訳産物が分解(グルコース不活性化)される例が報告されている。Cat8支配下で発現する遺伝子産物のグルコース不活性化を網羅的に観察したところ(ただし、既にグルコース不活性化を受けることが知られているFbp1、Mdh2、Icl1、Pck1は除いた)、グリセロール輸送体Stl1、酢酸輸送体Ady2、転写因子Sip4のグルコース依存的な分解が観察された。また、Cat8自身もグルコースに応答して分解されることが明らかとなった。Stl1は乳酸・ピルビン酸輸送体Jen1と同様にRsp5-Rod1ユビキチンリガーゼ複合体によってC末端領域に存在するリシン残基がユビキチン化され、エンドサイトーシスされることが明らかとなった。Cat8のグルコース不活性化はプロテアソーム阻害剤によって抑制されたことから、ユビキチンープロテアソーム系が関わっていることが示唆された。糖新生経路の鍵転写因子であるCat8タンパク質の量が、転写レベルに加え翻訳後レベルでも厳密に制御されていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
網羅的解析によるグルコース不活性化を受けるタンパク質の同定は予定通り進んだ。しかし、Ccr4-Not複合体のリン酸化とグルコース不活性化の関係の解析はNot4のリン酸化部位の同定が困難であり、遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
Stl1がRsp5-Rod1複合体によって認識されることが示唆されたため、その認識機構について解析する。Cat8のグルコース不活性化がプロテアソーム依存的に起こることが示唆されたため、ユビキチン化に関与するユビキチンリガーゼの同定を試みる。また、Sip4もプロテアソーム依存的にグルコース不活性化されるか調査する。
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