2020 Fiscal Year Annual Research Report
Dynamics of selenium metabolisms and diversity of their molecular mechanisms in microbes
Project/Area Number |
20H02907
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
三原 久明 立命館大学, 生命科学部, 教授 (30324693)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | セレン / 代謝 / 細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
グラム陽性細菌であるCellulomonas sp. D3a は、嫌気条件下で高い亜セレン酸還元能を示すため、亜セレン酸呼吸系を有する可能性が考えられた。Cellulomonas sp. D3aとその近縁種である、C. fimi 、C. flavigenaの亜セレン酸還元活性について、液体培地に添加した亜セレン酸の還元に伴い生じる元素状セレンの生成(赤色呈色)を指標に比較した。嫌気条件下、富栄養培地での48時間培養において、Cellulomonas sp. D3aは亜セレン酸還元活性を示すが、C. fimi ATCC 484とC. flavigena DSM 20109は有意な亜セレン酸還元能を示さなかった。また、グルコースを炭素源とする亜セレン酸含有最少培地でCellulomonas sp. D3a、C. flavigenaの嫌気培養を行い、その生育を調べた。その結果、Cellulomonas sp. D3aでは亜セレン酸依存的な生育促進が認められたが、C. flavigenaではそのような生育促進が認められなかった。Cellulomonas sp. D3a、C. fimi ATCC 484、C. flavigena DSM 20109のゲノム配列情報を利用して比較を行った。その結果、Cellulomonas sp. D3aにのみ特異的に存在する遺伝子が61個存在することがわかった。Cellulomonas sp. D3aの亜セレン酸還元活性は細胞破砕後の不溶性画分に存在することがわかっている。そのため、61個の遺伝子のうち膜貫通領域をもつものをSOSUI、TMHMMを用いて予測したところ、20個の遺伝子が膜タンパク質である可能性が示唆された。これらの遺伝子のいずれかが亜セレン酸還元に関与している可能性が考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Cellulomonas sp. D3aにおける亜セレン酸依存的な生育促進を見出すなど,新たな発見を果たしており,比較ゲノム解析により,亜セレン酸還元に関わる遺伝子の絞り込みも遂行したことから,研究はおおむね順調に進展していると考える.
|
Strategy for Future Research Activity |
申請書の計画に沿って研究を進める.セレンオキシアニオン還元酵素の反応機構について詳細に解析するとともに,細胞外セレンナノ粒子の生成機構について解析を進める.
|
Research Products
(24 results)