2020 Fiscal Year Annual Research Report
化学的手法によるテトロドトキシンとサキシトキシンの生合成機構の解明
Project/Area Number |
20H02921
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山下 まり 東北大学, 農学研究科, 教授 (50192430)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | テトロドトキシン / サキシトキシン / 生合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
[1] テトロドトキシン (TTX, 1)の新規類縁体の探索と生合成経路の推定: フグから高分解能LC-MSを用いて、さらなる新規類縁体を探索した結果、2種の新規類縁体が見つかった。どちらも非常に存在率が低い成分であったが、各種クロマトグラフィーを用いて、単離方法を確立できた。クライオプローブを用いたNMRで精密に構造解析を行っている。また、海洋のTTX生合成と比較するため、イモリからも新規類縁体やTTX関連化合物を同様に探索した。その結果、1-hydroxy-8-epiTTX (2) , 1-hydroxy-8-epi-5,11-dideoxyTTX (3), Tgr-238 (4), Tgr-240 (5), Cep-228A (6)を発見し、単離、構造決定し、これらの化合物の構造とTTXの推定生合成経路における位置付けを考察した(Journal of Natural Productsに論文発表済み)。 [2] サキシトキシン (STX, 7)の新規類縁体の合成と生合成・代謝経路の推定: 生合成後半部の三環形成反応機構の解明のため、連携研究者の長澤和夫教授ら(東京農工大学)が合成した合成中間体より、数段階の反応で、STXの生合成における推定生合成中間体を少量合成した。その合成品を標品として、有毒藍藻や有毒渦鞭毛藻類の粗精製物に存在するのかどうかを高分解能LCMSMSでの分析を進めている。一方、ホタテガイ中腸腺より、STXの類縁体として初めて、STXと環構造の異なるヘミアミナール型の類縁体M5-HA (8)とM6-HA (9)の存在を発見し、8は単離してNMRで構造決定した。また、9は8からの化学誘導で構造決定した。これらは、渦鞭毛藻類からも報告されており、STX類の代謝産物と考えられた(Chemosphereに論文発表済み)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、フグから2種のTTX新規類縁体が見つけ、単離方法を確立した。また、イモリからも新規類縁体やTTX関連化合物を探索し、1-hydroxy-8-epiTTX (2) , 1-hydroxy-8-epi-5,11-dideoxyTTX (3), Tgr-238 (4), Tgr-240 (5), Cep-228A (6)を発見し、単離、構造決定し、それらの生合成経路を推定し、論文発表した。一方、STX類についても、三環の推定生合成中間体を少量だが合成できた。また、ホタテガイ中腸腺より、STXの類縁体として初めて、STXと環構造の異なるヘミアミナール型の類縁体M5-HA (8)とM6-HA (9)の存在を発見し、構造決定し、STX類の代謝経路を推定できた。これらも論文発表できた。以上のことからおおむね順調に進捗したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1. フグから発見した2種のTTX新規類縁体の構造を、NMRデータを詳細に解析して決定し、TTX生合成経路における位置付けを推定する。 2. イモリから、さらなるTTX類縁体を探索、単離、構造決定し、TTXの生合成との関連を考察する。 3. 酸化状態が低いSTX類縁体で、今回少量合成できた化合物をさらに合成し、これらの推定中間体が有毒藍藻や、有毒渦鞭毛藻類に存在するのかどうか、さらなる分析、検討を行う。
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[Journal Article] Synthesis of C12‐keto saxitoxin derivatives with unusual inhibitory activity against voltage‐gated sodium channels2020
Author(s)
Kanna Adachi, Tomoshi Yamada, Hayate Ishizuka, Mana Oki,Shunsuke Tsunogae, Noriko Shimada, Osamu Chiba, Tatsuya Orihara, Masafumi Hidaka, Takatsugu Hirokawa, Minami Odagi, Keiichi Konoki,* Mari Yotsu-Yamashita,* Kazuo Nagasawa*
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Journal Title
Chem. Eur. J.
Volume: 26
Pages: 2025-2033
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 合成サキシトキシン誘導体に対する電位依存性ナトリウムチャネルの感受性評価2021
Author(s)
千葉修, 山田智士, 角替俊輔, 島田紀子, 長 由扶子, 高柳優夏, 星 美波, 安達栞菜, 石塚 颯, 長澤和夫, 山下まり, 此木敬一
Organizer
日本農芸化学会2021年度大会
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