2020 Fiscal Year Annual Research Report
Coordinated synchronization of inter-organ crosstalk of biological clock for health constitution
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20H02930
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小田 裕昭 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (20204208)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 時間栄養学 / 健康体質 / 生物時計 / 臓器間クロストーク / 肝臓時計 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝臓時計がどのように、同調、制御されるかについて検討した。私達はこれまで、インスリンが肝臓時計を同調する強い因子であることを明らかにしてきた。実際の不規則な食生活モデルにおいて、摂食タイミングの変化によって血清インスリン濃度のリズムの位相がずれ、それに伴い肝臓の時計遺伝子や脂質代謝遺伝子のリズムの位相がずれ、それにより脂質代謝異常が生じることを明らかにした。さらに、朝食欠食モデルにおいても、同様な検討を行った。4時間の摂食タイミングの遅れ(朝食欠食)により、インスリンの位相がずれ、獅子代謝遺伝子のリズムの位相もずれていたためここまで通りインスリンの作用によってこのような変化が朝食欠食おいても起きたと考えた。この朝食欠食 実験では高脂肪食を用いて行なっており、 朝食欠食により体重が増加していた。ところが、次に高コレステロール食を用いた朝食欠食モデルにおいては、時計遺伝子のリズムの位相が後退することはなく脂質代謝のリズムの位相が後退した。 この時も インスリンの位相は後退していたことより、インスリンだけでは肝臓の時計遺伝子のリズムの同調を起こすことが難しいことが分かった。一方でインスリンのみで脂質代謝のリズムの位相は同調できることが分かった。そしてこの時、インスリンと同様にリズムをリズムの位相が見られたものに遊離脂肪酸や胆汁酸があった。遊離脂肪酸も胆汁酸も単独で時計遺伝子のリズムを同調させることが知られており、朝食欠食という短時間の摂取タイミング変化モデルにおいては、インスリンとそれ以外の同調因子を必要とするものと考えられ、その候補として遊離脂肪酸や胆汁酸が想定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、インスリンの同調作用の分子メカニズムを明らかにするため、培養細胞を用いて、細胞内情報伝達について調べるつもりでいたが、動物実験において上に示したような結果が得られたため、インスリンの作用を検討する上で重要だと考えて先に行うこととした。インスリンだけでは時計遺伝子のコアシステム を動かすことが難しいのではないかということが分かったため、まずは動物実験で更に追うことにした。インスリンの作用には遊離脂肪酸や胆汁酸の情報を必要とする可能性があることが分かったため、まずこれを確認する必要があると考えた。インスリン単独で、脂質代謝などのリズムを同調させることはできるようであるが、時計遺伝子のコアシステムの同調にはインスリン単独では不十分であることが分かった。このような事情で少し変更を加えたが、概ね順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、時計遺伝子の臓器間ネットワークを調べる目的で、皮膚の時計について検討するつもりである。皮膚は体外に露出した臓器でありその状況を確認することが容易にできるため、皮膚の時計を観察することによって体内、例えば肝臓や小腸や他の臓器の時計の状態も推測できるのではないかと考えている。そこで皮膚時計と内蔵時計との関係について検討していく予定である。実際には食事のパターンを変化させた動物における肝臓時計と皮膚時計との関係について調べる。さらに皮膚に温度刺激を与えて皮膚時計を動かした時の内蔵時計との関係について検討していくつもりである。 さらに皮膚の三次元の培養細胞を用いて、様々なホルモンや他の細胞のコンディション培地を用いて同調因子を探索していく予定である。
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Research Products
(1 results)