2021 Fiscal Year Annual Research Report
Controls of inflammation and intestinal environment by intestinal bacterial metabolites for extending healthy life expectancy
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20H02938
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
上原 万里子 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (20211071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石見 佳子 東京農業大学, その他部局等, 教授 (50154159)
高橋 信之 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (50370135)
井上 博文 東京農業大学, 応用生物科学部, 准教授 (10639305)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ロコモティブシンドローム / メタボリックシンドローム / 植物性機能物質 / 腸内細菌代謝産物 / 米麹発酵産物 / SMP30 |
Outline of Annual Research Achievements |
『健康寿命の延伸』のためには、運動器の障害であるロコモティブおよびメタボリックシンドロームの同時予防が重要である。両シンドロームに共通する慢性炎症性疾患予防には炎症制御が必要であり、抗炎症作用のある食品因子、特に腸内細菌の代謝産物は、親(元)物質より生理活性が強いため、主として植物性機能物質の代謝産物に着目した。本研究では、候補となるものをin vitro系でscreeningし、in vivoでも効果の高い食品因子を選択し、その腸内細菌叢を解析する。また、抗加齢(老化)タンパク質であるSMP30発現に及ぼす植物性機能物質の影響についても検討した。【in vitro系試験】前年度、RAW264.7に植物性機能物質とその代謝産物や発酵産物を添加し、培養後、破骨細胞(OC)分化誘導状態を確認し、Luc assayにより炎症 or OCのmaster regulatorであるNF-κB or NFATc1の活性化制御能についてscreeningしたが、今年度は効果があった成分について、real-time PCRにて炎症性応答およびOC分化誘導遺伝子発現解析により確認した。特に米麹で発酵させたショウガ麹には抗炎症・OC分化抑制作用が認められたが、既知の抗炎症成分のshogaol、gingerolとは異なる成分であることが推測された。また、肝細胞におけるSMP30はカテキン(EGCG)、equol、resveratrol添加により発現が増加した。【in vivo系試験】ラットにイソフラボン配糖体単独、プレバイオティクスであるフラクトオリゴ糖単独、両者を2週間併用摂取させ、equol産生能の確認と腸内細菌叢解析のためのサンプル採取を行った。また、新たな骨・脂質代謝両異常モデルとして、肝臓特異的PPARα遺伝子ノックアウト(KO)マウス作製も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
炎症と破骨細胞分化を同時に抑制する植物性機能物質をscreeningする系については確立したが、炎症と脂肪細胞分化を同時に抑制する食品因子のscreeningについては実施が遅れている。また、in vivoの動物試験についても、プレバイオティクであるフラクトオリゴ糖とイソフラボン配糖体の併用摂取試験は行い、サンプルを採取したものの、equol産生能の確認と腸内細菌叢解析が遅れている。しかし、「健康寿命の延伸」に寄与する新たな試みとして、抗加齢タンパク質であるSMP30発現を増加させる幾つかの植物機能性物質を見出し、そのSMP30発現増加の作用機序についても、一部in vitroの細胞を用いた試験のみならず、in vivoの動物試験も含め、検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitro系では、炎症と脂肪細胞分化を同時に抑制する、もしくは炎症による褐色脂肪細胞の熱産生阻害作用を改善する食品因子のscreening法を確立する。ショウガ麹中の新規抗炎症成分(生理機能物質)の同定も試みる。in vivo系では、新しい骨・脂質代謝両異常モデルとして、肝臓特異的PPARα遺伝子KOマウスまたは同AMPK遺伝子KOマウスの作製が見込まれるため、高脂肪食+抗炎症作用を有する幾つかの植物性機能物質、その腸内細菌による代謝産物もしくは発酵産物を投与し、骨・脂質代謝(主にβ酸化系)、炎症性マーカーおよび関連遺伝子発現解析を行う。大腿骨・脛骨は、骨密度測定に加え、骨の構造が明らかになるX線μCT解析に供する。また、前年度までの結果を検討し、ヒト介入試験(pilot study)を計画・実施する。equol産生能に関する試験は経験があり、前駆体とプレバイオティクスの併用摂取で摂取前後のequol産生能を比較し(尿中のequol/daidzein比)、非産生者での有意な増加が認められたことから、再度ヒト介入試験を行い、その腸内環境を検討する必要がある。プレバイオティクス摂取により増加するビフィズス菌はequol産生菌ではないため、この場合のequol産生能の上昇は、前駆物質のdaidzeinから変換されるもう一つの代謝産物であるO-DMA産生菌の減少やプレバイオティクス摂取時に変化した腸内環境が影響している可能性があり、その詳細についても明らかにする予定である。
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Research Products
(11 results)