2022 Fiscal Year Annual Research Report

イネ科作物の葉の機能性に関与する遺伝学的機構の解明

Research Project

Project/Area Number	20H02955
Research Institution	The University of Tokyo
Principal Investigator	伊藤純一東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (30345186)
Project Period (FY)	2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords	イネ / 発生 / 葉 / 形態形成
Outline of Annual Research Achievements	イネやイネ科の葉に特徴的な組織や領域で発現する新規遺伝子を抽出し、それらの遺伝子の機能破壊系統をCRISPR/Cas9によって作出した。その中で葉身のみで発現するTCP遺伝子の表現型について詳細に解析を行なった。TCP遺伝子は転写因子をコードする大きな遺伝子ファミリーを形成することから、当該遺伝子と発現場所が重なる二つのホモログを同定し、３重変異体の表現型を観察した。その結果、多重変異体において、葉の幅が太くなり、向軸に巻く表現型が観察された。従って、本遺伝子はイネの葉の幅や巻き性の制御に関わる遺伝子であると考えられた。一方で、この表現型がどのような細胞、組織レベルの異常によるか明らかではなかったため、CRES-T法を用いることによって、下流遺伝子の抑制による表現型の観察を行なった。しかし、得られた系統の表現型は安定したおらず、依然として本遺伝子が関わる発生的な制御過程は明らかにはならなかった。また、イネの葉における組織や細胞レベルでの発現解析を行うため、レーザーマイクロダイセクションによる微小組織を切り出しとRNAの抽出の条件検討を行なった。その結果、サンプルの固定や保存法など、RNAクオリティーの最適化に資する条件が得られた。また、乾燥サンプルを用いたX線CT装置による非破壊的解析に関しては、乾燥時の細胞レベルでのサンプル収縮が、観察結果に大きく影響することが明らかとなった。その他に葉の気孔の孔辺細胞に特異的に発現する遺伝子や、表皮における二細胞性トライコームに特異的に発現する遺伝子の遺伝子破壊系統の作出を行い、形態的表現型が検出できるかどうかを解析した。その結果、トライコームに特異的に発現する遺伝子に関しては、毛の長さや向きに異常が見られることがわかった。このことから、これまで報告のない二細胞トライコームの成長に関わる初の遺伝子を同定することができた。
Research Progress Status	令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
Strategy for Future Research Activity	令和4年度が最終年度であるため、記入しない。