2021 Fiscal Year Annual Research Report
葉老化抑制による窒素施肥耐性のイネ良食味・酒造好適品種開発のための基礎研究
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20H02959
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
草場 信 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 教授 (20370653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 岳 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 特任助教 (30636139) [Withdrawn]
信澤 岳 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 助教 (40814463)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | イネ / 老化 / ゲノム編集 / 種子 |
Outline of Annual Research Achievements |
イネの胚乳中の高タンパク質含量は食味を低下させるとともに酒米適性を低減させることが知られている。そのため、良食味米や酒米の栽培時にはしばしば窒素施肥は控えられる。通常の窒素施肥条件でも穀粒中のタンパク質含量を低く抑えることが出来れば、収量性等の観点から大変有用である。イネ穀粒中のタンパク質の40~70%は老化葉由来であることから、葉からの窒素分の転流が抑制される葉老化抑制突然変異体は低タンパク質系統として期待される。本研究では、イネにステイグリーン形質を付与することで、十分な窒素施肥下でも穀粒中タンパク質含量が抑制されるイネ系統の作製を目指した。本年度は前年度に単離した新奇ステイグリーン突然変異と思われる突然変異体735-A系統の責任遺伝子を単離するため、野生型との交雑によりF1系統を得、さらに室内での栽培によりF2集団を得た。また老化を制御するNAC転写因子のゲノム編集による改変によってもステイグリーン形質を与えることを目指し、イネの葉で老化に従い発現が誘導され葉老化促進に関与すると考えられる5つのNAC転写因子(NBL1-5)を標的としたCRISPR-Cas9バイナリーベクターを用いたゲノム編集体を行った。得られたゲノム編集体のうち、1個体では全ての遺伝子に変異が導入されていた。NBL1には複雑な変異が導入されており後代での分離を解析する必要があるものの、突然変異体を得ることは出来たと考えられた。NBL2については1塩基挿入によるフレームシフト変異がbiallelicで、NBL3では1塩基挿入がホモ接合で、NBL4は1塩基挿入によるフレームシフト、NBL5に1塩基挿入によるフレームシフトがヘテロで起こっていた。この後代を得ることで目的の系統を得ることができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通り、ステイグリーン突然変異体の交雑後代(F2集団)を育成することが出来た。また、ゲノム編集では標的とした5つのNAC転写因子遺伝子に変異が導入されている個体を得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
新奇突然変異体と野生型の交雑後代(F2集団)を用いて、MutMap法による原因遺伝子の推定を行う。ゲノム編集体についてはホモ個体を得るとともに栽培特性を観察する。また、予備的に種子成分の分析を行う。
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