2022 Fiscal Year Annual Research Report
葉老化抑制による窒素施肥耐性のイネ良食味・酒造好適品種開発のための基礎研究
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20H02959
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
草場 信 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 教授 (20370653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
信澤 岳 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 助教 (40814463)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | イネ / 老化 / ゲノム編集 / 種子 |
Outline of Annual Research Achievements |
イネ穀粒中のタンパク質含量が高いと食味や酒米適性を低下させることから、登熟期のイネの栽培はしばしば低窒素条件で行われる。一方、通常の窒素施肥条件でも穀粒中のタンパク質量を抑制することができれば、低タンパク質米でながら収量性も高めることが可能と考えられる。イネ穀粒中のタンパク質の40~70%は老化した葉からもたらされることから、葉からの転流が抑制される葉老化抑制(ステイグリーン)突然変異体は実用上の低タンパク質系統として利用可能と考えられる。そこで本研究ではイネにステイグリーン形質を付与することで、十分な窒素施肥条件下でも穀粒中のタンパク質量が抑制されるイネ系統の作成を目指した。本年度はイネステイグリーン系統735-Aと野生型のF2集団から20個体のステイグリーン表現型を示す個体を選抜し、MutMap法により候補変異を探索した。その結果、735-A変異体の原因遺伝子は第3染色体の1.6Mbp~2.7Mbpの領域に存在すると推測された。その領域に変異を持つ候補遺伝子を2遺伝子見出した。また、葉老化時に誘導される5つのNAC転写因子(NBL1-5)を標的としてCRISPR-Cas9によるゲノム編集を行った。変異を含む複数系統を栽培したところ、NBL1-5の全てに変異が入った系統も含めて、NBL1が変異体ホモになる系統では稔実率が非常に低下することが判明した。そこで、交雑および自殖を行うことにより、その他のNBL2-NBL5についてのみホモになる系統の育成を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MutMap法に関しては解析を行うことができたが、ゲノム編集で作製したnbl変異体が予想外の表現型を示したことから、計画を一部変更する必要が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ポジショナルクローニングについては高精度マッピングを行うことで原因遺伝子の特定を試みる。NBL多重変異体作成についてはNBL1を除く4つのNBL遺伝子多重変異体を作成することで表現型を確認する。
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