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2021 Fiscal Year Annual Research Report

Production of marker-free transplastomic plants using complementation of the psbA-deletion mutant

Research Project

Project/Area Number 20H02961
Research InstitutionKyoto Sangyo University

Principal Investigator

寺地 徹  京都産業大学, 生命科学部, 教授 (90202192)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 桶川 友季  岡山大学, 資源植物科学研究所, 助教 (10582439)
木村 成介  京都産業大学, 生命科学部, 教授 (40339122)
Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords葉緑形質転換 / psbA / 光化学系II / タバコ / アルビノ
Outline of Annual Research Achievements

高等植物で葉緑体の組換え体を得るためには、通常、組換え体を選抜するマーカー遺伝子を用いる。マーカー遺伝子の多くは細菌由来の抗生物質耐性遺伝子であり、葉緑体の組換え技術を野菜などの作物へ応用する際には、耐性遺伝子に対して消費者が良いイメージを持たず、作出された組換え作物に不安を抱くことが懸念される。そこで近年、耐性遺伝子を使わずに組換え体を選抜する「マーカーフリー」な組換え方法の開発が求められている。
当研究室では、栽培タバコ(Nicotiana tabacum cv. SR1)を用いて葉緑体の組換え系統を多数作出してきた。その中には、自律複製能力のある葉緑体DNA断片を持つプラスミドを葉緑体に導入して得た系統があるが、#3-2と呼ぶ系統では、導入したプラスミドよりはるかに大きなプラスミドが保持されていることがわかっている。また、この系統の自殖第2代は、若い葉は緑色で生えてくるが、葉が発達して古くなるにつれ白色化してアルビノになるという、特徴的な表現型を示す。このアルビノタバコを次世代シークエンシングにより解析したところ、葉緑体ゲノム上にあるpsbAのコード領域が欠失していることが明らかとなった。
本研究は、このアルビノタバコを材料に、psbAを相補することで白色の葉から緑色の形質転換体を作出することが可能か、またこの現象を利用して抗生物質を使用せずに組換え体を選抜できないかを検討することを目的としている。そのため今年度は、psbAを欠失しているアルビノタバコ(#3-2 T2)の特徴づけを昨年に引き続き行うとともに、psbAをアルビノタバコの葉に導入するために用いる葉緑体形質転換プラスミドの構築を行った。また、構築したプラスミドのDNAを、パーティクルボンバードメント法によりアルビノタバコの葉へ実際に射出し、緑色の組換え体が得られるか調査した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度はまず、葉緑体形質転換の材料とするアルビノタバコの特徴づけを、機器による光化学系IIの活性測定、葉緑体タンパク質の分析、葉緑体の電子顕微鏡観察などの方法で実施した。
このアルビノタバコの新しく生えてくる若い葉は緑色である。実験を始める前は、若い葉が緑色なのは、残存しているプラスミド上のpsbAが発現し、PSIIが機能しているからだと予想していた。しかし、Mini PAMによる光化学系IIの活性測定、タンパク質のSDS-PAGEおよび抗psbA抗体を用いたウェスタン解析の結果、この植物では白い葉のみならず若い緑色の葉でもPSII複合体は形成されていないことが判明した。一方、緑色の葉は、ここでクロロフィルの合成が行われていることを示す。この事実から、クロロフィルはPSII複合体がなくても合成されるという新知見がもたらされた。またこの植物では、クロロフィルで吸収された光エネルギーは、電子伝達系で消費されず、ROSの発生をもたらすと考えられるので、ROSの蓄積が白化の原因であると解釈された。
電子顕微鏡で、茎頂から数えて1枚目の葉と3枚目の葉の葉緑体を観察した。野生型では、いずれの葉でもグラナの積み重なりの1つ1つを視認できたが、アルビノタバコの1枚目の緑色の葉では、葉緑体のグラナが潰れて層のようになっていた。また3枚目の白色の葉では、葉緑体にグラナが認められないばかりか、葉緑体そのものも変形していることがわかった。
葉緑体の形質転換に使用する3種類の形質転換ベクターを作製した。アルビノタバコの葉に、これらのベクターを導入したが、今回の実験で得られた植物は、psbAが相補されておらず、もとのアルビノタバコと同様の表現型を示した。後日、実験に用いた形質転換ベクターの設計に不都合な点が発見されたため、相補の可否は結論がでなかった。次年度はベクター配列を修正し、再度相補実験を行う。

Strategy for Future Research Activity

今年度の実験では、形質転換の外植片として、完全に白化した葉を用いた。しかし電子顕微鏡観察で明らかになったように、白化した葉では葉緑体の内部構造が壊れており、仮にpsbA遺伝子の導入に成功し、D1タンパク質が供給されたとしても、葉緑体の機能を回復できない可能性がでてきた。幸い、今年度の実験で、若い緑葉にも光化学系IIは存在しないことがわかり、この葉の葉緑体は内部構造を保っているように思えることから、次年度は形質転換の外植片として、若い緑葉を使用する。作製した自律複製型の形質転換ベクターは、psbA遺伝子の全長がクローニングされているものの、シークエンシングの結果、プロモーター領域の配列が数十塩基欠けていることが判明した。次年度はこのベクターのプロモーター配列を完全なものへと復元し、形質転換実験に使用したい。また、今年度、psbA-3000というpsbA遺伝子のコード領域とその前後1kbをクローニングした形質転換ベクターを作製した。アルビノタバコの葉緑体ゲノムには、aadA遺伝子と大腸菌のプラスミド配列が組み込まれていると思われるので、この形質転換ベクターは、相同組換えで葉緑体ゲノムに組み込まれる可能性がある。今年度は、このベクターによる形質転換実験を継続するとともに、psbA遺伝子を別の葉緑体形質転換ベクターへ新たにクローニングして、これを用いた形質転換実験も実施したい。

  • Research Products

    (4 results)

All 2022 2021

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 2 results)

  • [Journal Article] Functional division of f-type and m-type thioredoxins to regulate the Calvin cycle and cyclic electron transport around photosystem I.2022

    • Author(s)
      Okegawa Y, Sakamoto W, Motohashi K.
    • Journal Title

      J Plant Res.

      Volume: - Pages: -

    • DOI

      10.1007/s10265-022-01388-7.

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 葉緑体内で自律複製する形質転換ベクターの開発2021

    • Author(s)
      馬場裕士, 見田知一, 中元海里, 植村香織, 寺地徹
    • Organizer
      日本育種学会 第140回講演会
  • [Presentation] 自律複製型の葉緑体形質転換ベクター作製の試み2021

    • Author(s)
      寺地徹
    • Organizer
      第38回 日本植物バイオテクノロジー学会
    • Invited
  • [Presentation] 植物生産現場-遺伝子組換え作物とゲノム編集作物に対する取り組み-2021

    • Author(s)
      寺地徹
    • Organizer
      第20回 日本バイオセーフティ学会総会・学術集会
    • Invited

URL: 

Published: 2022-12-28  

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