2021 Fiscal Year Annual Research Report
2018年と2019年に岐阜県中濃においてイネ高温不稔被害の程度を決定した要因
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20H02964
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松井 勤 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (70238939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 貴 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (20805436)
小林 和広 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 准教授 (90234814)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 岐阜県 / 水稲 / 高温不稔 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.2020年,岐阜県中濃地域の晩生水稲の不稔が大発生した.2020年の不稔の発生要因を明らかにすることが,2018,2019年の不稔発生の原因の解明につながると考え,中濃地域の水稲晩生品種における不稔発生の分布の記録,一部の水田では,水田内の不稔発生の空間分布を知るための稲穂の面的なサンプリング,気象観測データの収集,およびそれらのデータの整理と解析を2021年度にかけて行った.その結果,不稔の発生が顕著な水田は山や丘の東側に多く分布することが明らかとなった.また,気象観測の結果から晩生品種が穂ばらみ期と出穂期に35℃以上の高温に曝されていたこと,および,その高温時に山の東側では風が弱く,稲体の温度が上がりやすい条件が整っていたことが明らかとなった.さらに,農家への聞き取り調査を行った不稔大発生水田に8月半ばまでの中干が共通していることがわかり,高音だけでなく,中干による水ストレスが不稔の発生に関与している可能性が示唆された.一方,サンプリングされた穂に着生していた不稔籾の半数にはイネカメムシの口針鞘が認められ,不稔の原因の半分程度はイネカメムシによるものと推察された. 2.2020年に水稲晩生品種が穂ばらみ期と開花期に遭遇した高温条件を人工気象器内に再現し,岐阜県の主力品種「コシヒカリ」および「ハツシモ」に対し穂ばらみ期に1週間,開花期に3日間の高温処理を施した.その結果,それぞれの時期の高温が不稔を発生させることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018,2019年に加えて2020年の水稲不稔の大発生に関するデータを解析することで,中濃地域で発生する高温不稔の発生メカニズムの解明が進んだと考えられるため.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年に中濃地域の晩生水稲に発生した水稲の不稔は,これまでにない大規模なものであった.そこで,最終年度も引き続き2020年に発生した不稔について重点的に調査解析を行う..
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