2020 Fiscal Year Annual Research Report
C4植物で普遍的に起こる葉肉葉緑体凝集運動の誘導機構と生理的役割の解明
Project/Area Number |
20H02966
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
谷口 光隆 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (40231419)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大井 崇生 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (60752219)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | C4植物 / 葉緑体 / 光合成 / 環境ストレス / シコクビエ / 形質転換 / 葉緑体運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
C4植物が環境ストレスを受けると、葉肉細胞の周縁部に散在している葉緑体は維管束鞘細胞側に移動する“凝集運動”を起こす。この凝集運動の誘導には葉内CO2濃度の低下が関係しているが、その誘導機構の詳細は不明である。 本研究では、凝集運動の誘導機構と生理的役割を解明して、葉緑体凝集運動をC4植物が発揮する高い光合成能およびストレス耐性能の一要因として位置づけられるかを明らかにすることを目的としている。本年度は、新型コロナウイルス感染症による影響のため、当初計画を延長して実施し、特にC4植物シコクビエの形質転換方法について検討を重ね、以下の結果を得た。 既に海外の研究者からの報告があるシコクビエ茎頂分裂組織(SAM)にアグロバクテリウムを感染させカルス期を介さずに直接植物を再生させる形質転換法を追試した。アグロバクテリウム感染時の添加物組成、感染時間、アグロバクテリウム濃度、ベクターの種類を変えるなど、形質転換効率向上が報告されている様々な感染条件を試したが、形質転換体を得るには至らなかった。 葉肉葉緑体凝集運動のC4植物における誘導の普遍性について、C4双子葉植物も含めて調査対象を広めた。その結果、ヒユ科の幾つかのC4種においても明白な凝集運動が観察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していたシコクビエ形質転換方法が確立できておらず、シコクビエだけでなく、形質転換体作製技術が確立しつつあるエノコログサも対象にして形質転換体を得られるよう引き続き研究を進める。
|
Strategy for Future Research Activity |
シコクビエの形質転換については、イネの形質転換法を参考にして改良を進める。具体的には、様々なシコクビエ品種を対象にして、カルスの誘導およびアグロバクテリウム感染の最適条件を調べる。 葉肉葉緑体の凝集運動の誘導因子の探索と解析を行う。
|
Research Products
(4 results)