2021 Fiscal Year Annual Research Report
ナシ属初の自殖F2集団を用いた主要形質の制御領域の同定と優良育種素材開発
Project/Area Number |
20H02979
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
板井 章浩 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (10252876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 基一朗 鳥取大学, 農学部, 教授 (00183343)
及川 彰 山形大学, 農学部, 教授 (50442934)
森本 拓也 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (90837634)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 追熟性 / QTL / 果実形質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、セイヨウナシXニホンナシ自殖F2集団を材料にして、高密度連鎖地図の作製および有用形質に関するDNAマーカー開発を行い、育種に役立てることを目的として実験を行っている。今年度も、セイヨウナシ‘マックス・レッド・バートレット’とニホンナシ‘おさ二十世紀’の交雑F2集団を材料として、追熟性、果皮色、果肉硬度、果汁pH、糖度、糖含量を含む計30項目で形質調査を実施し、QTL解析を行った。追熟性については、3:1の分離比に適合し、1遺伝子支配の可能性が示唆された。また、これまでに作成されていたGRAS-DiマーカーにRAD-seqマーカーを加えた連鎖地図を用いて、QTL解析を行った結果、追熟性に関して非常に高いLOD値の有意なQTLが検出された。そのほか果実横径,果皮色L*,a*,b*,果肉硬度、ソルビトール含量,果梗長で有意なQTLが検出された。さらに、交雑F2集団の追熟型系統と非追熟型系統について、成熟果実のRNA-seq解析を行い、リファレンスに‘二十世紀’ゲノムを用いて候補遺伝子の解析を実施したところ、追熟性に関与する当該QTL領域内に追熟型系統と非追熟型系統で発現量に有意差がある遺伝子の存在が確認された。今後さらに評価個体数を増やして実験を行い、QTL解析の連鎖地図に用いる新たなマーカーを作出することで、追熟性や他形質に関与するゲノム領域の絞り込みや候補遺伝子の同定を行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
追熟性、果皮色、果肉硬度、果梗長について有意なQTLが検出され、RNA-seqも行い、一部原因遺伝子の単離に向けて研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
追熟性や熟期,糖度、酸度、病害罹病性などの重要形質については、より形質評価個体数を増やして、解析を行う。解析を行った形質については環境要因の影響を調査するためにも、引き続き、調査を進める必要がある。
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