2022 Fiscal Year Annual Research Report
ナシ属初の自殖F2集団を用いた主要形質の制御領域の同定と優良育種素材開発
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20H02979
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
板井 章浩 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (10252876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 基一朗 鳥取大学, 農学部, 教授 (00183343)
及川 彰 京都大学, 農学研究科, 教授 (50442934)
森本 拓也 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (90837634)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 香気成分 / 追熟 / QTL |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、セイヨウナシXニホンナシ自殖F2集団を材料にして、高密度連鎖地図の作製および有用形質に関するDNAマーカー開発を行い、育種に役立てることを目的として実験を行っている。ニホンナシは、一般的に香りに乏しく、香りについて品種改良された事例はない。一方、セイヨウナシは香りに富んでおり、香りを持つニホンナシ新品種の育種を行う際の良き遺伝資源として有望である。しかし、ナシの香気成分の遺伝に関する先行研究は殆どない。本研究では、セイヨウナシ’マックス・レッド・バートレット’とニホンナシ’おさ二十世紀’を交雑して得られたF2集団を用いて、香気成分の遺伝学的解析を行った。成熟果実のヘッドスペースガスをシリカモノリス捕集剤で捕集し、溶媒抽出によって得られた溶液をWAX系カラムに導入するGC-MS分析を行った。またGRAS-Diマーカーで作成した連鎖地図を用いて、分析結果を元にQTL解析を行った。GC-MS分析の結果, F2集団で50種以上の物質が同定され、香りに多様性が見られた。アルコール類、エステル類、アルデヒド類、テルペン類、炭化水素が主な検出成分であった。ニホンナシ由来のCyclohexyl acetateが最も多くの系統で同定され、セイヨウナシ由来のHexyl acetateが系統あたりの含量が最大だった。Hexyl acetateは代表的なセイヨウナシの香りである。QTL解析の結果、Hexyl acetate、1-Butanol、Pentyl acetate、Ethyl octanoateでQTLが検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回は主として、香気成分について解析し、多様な成分の同定と定量結果からQTL解析を行い、香気成分の遺伝様式の解明と香気成分導入の育種の可能性を見いだすことができ、研究が進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
追熟性や熟期,糖度、酸度、病害罹病性などの重要形質については、より形質評価個体数を増やして、解析を行う。解析を行った形質については環境要因の影響を調査するためにも、引き続き、調査を進める必要がある。
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Research Products
(3 results)