2020 Fiscal Year Annual Research Report
Pyruvate metabolism associated with ester synthesis in apple
Project/Area Number |
20H02982
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
田中 福代 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 高度分析研究センター, ユニット長 (50355541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立木 美保 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, 上級研究員 (10355381)
矢野 亮一 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 高度分析研究センター, 上級研究員 (00443044)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | apple aroma / cultivar / GC-MS / watercore |
Outline of Annual Research Achievements |
香りはリンゴの品質や嗜好性の関連する重要な要素であり、そのプロファイルは品種やプレ・ポストハーベストの諸条件で変化する。また、リンゴの香気ではエステル類の比率が高いことが特徴である。これまでに、みつが入りやすい品種においてはみつ入りの程度や果肉の部位により香気プロファイルが大きく変化すること、エステル類の中でも酢酸エステル類とエチルエステル類の比率が品種によって強く制御されていることを報告してきた。そこで、みつ入りやエスエルの組成に特徴のある品種を供試し、エステル類を中心とした香気プロファイルの変化とそれに関連する遺伝子発現の解析を行った。 実験では、リンゴ品種「ふじ」(FJ)、「はるか」(HK)、「国光」(RJ)、「シナノゴールド」(SG)を供試し、経時的にサンプリングと香気成分プロファイリングを実施した。 FJ,HK,SGでは適期前収穫から貯蔵後にかけてエステル類の増加が認められた。RJでは対象期間を通じてエステル類の生成が極めて少なく、アルコールとアルデヒドが主要な成分であった。FJとHKは適期収穫の全個体にみつが認められ、両品種ともみつ部位にエチルエステルが集積し、外側とは組成が大きく異なることが確認された。SGでは各種の酢酸エステルが多く生成したが、エチルエステルやメチルエステルの生成はほとんど認められず、果実内の部位間差も小さかった。 果実のみつ入りと関連する香気成分の代謝生理について明らかにするため、果実のみつの有無と果肉内の部位別に代謝産物と水分状態を解析した。みつ入りリンゴでは果実内の香気成分の偏りが大きいこと、外周のみつでない部分からみつ部位への水分の流れを生む駆動力の存在を立証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
選定した4品種のリンゴについて、品種、収穫時期、果実内部位についてそれぞれの特性を明らかにした。国産リンゴ品種の香気特性について、このような細かい条件設定で香気成分プロファイリングを行った事例はかつてない。また、RNAseq用の試料を同一サンプルから取得しており、今後実施するトランスクリプトームとの統合解析に向けて準備を整えた。 また、香気に特徴のあるみつ入りリンゴを題材に、果実内の香気成分の分布と水分状態の分布を解析し、みつ入りリンゴでは両者にみつ無しリンゴには無い果実内の偏りが存在することを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
72サンプルについて実施した香気成分プロファイリングとRNAseqの統合解析から、リンゴの香気成分の生成制御における重要遺伝子を抽出する。またその変動にかかわる環境条件を追求する
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Research Products
(2 results)