2021 Fiscal Year Annual Research Report
Induced defense of tea leaf by tortricid moth oviposition
Project/Area Number |
20H02983
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
戒能 洋一 筑波大学, 生命環境系, 研究員 (20183775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 茂 筑波大学, 生命環境系, 講師 (30239131)
石賀 康博 筑波大学, 生命環境系, 助教 (50730256)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 寄生蜂 / 探索行動 / 産卵誘導物質 / 生物検定 |
Outline of Annual Research Achievements |
茶園において、茶樹は害虫チャノコカクモンハマキ(以下、ハマキガと省略)の食害にさらされる。それを寄主とする寄生性天敵ハマキコウラコマユバチ(以下、コマユバチと省略)は、チャ葉からの化学的な信号で寄主の生息場所を探そうとしていることが知られている。しかし、卵が産み付けられた茶葉の揮発成分に対するコマユバチの反応や、ハマキガの産卵に対する植物のシグナル伝達については、まだ知られていない。本研究では、ハマキガの卵やメス成虫の生殖系(reproductive system, RSと略す)ホモジネートを処理したチャ葉の揮発成分に対するコマユバチの反応を調べた。コマユバチは、寄主卵塊やRSホモジネートの揮発成分そのものには選好性を示さなかったが、RS処理したチャ葉の揮発成分を、無処理葉の揮発成分よりも好むことがわかった。この結果は、寄主植物の応答により放出された揮発性物質が、コマユバチを引き付けることを示している。これまでの生物試験結果から、ハマキガの産卵によりチャ葉の表面に低極性溶媒で抽出可能な産卵誘導物質が葉によって生成され、コマユバチの寄主探索行動が活性化されると判断した。 分子生物学的アプローチとして、ハマキガの産卵によって誘導される植物の生理反応についても調べた。RS処理したチャ葉では、植物ホルモンであるジャスモン酸(JA)やエチレン(ET)シグナルの防御関連遺伝子の発現が誘導された。また、非宿主植物のシロイヌナズナにおけるサリチル酸(SA)、JA、ET経路の遺伝子発現を解析した結果、シロイヌナズナでは、卵処理によりSAおよびETシグナル遺伝子の発現が誘導されたが、JAシグナル遺伝子の発現は抑制された。これらの結果は、JA経路で誘導される揮発性化合物が、コマユバチを寄主植物のチャ葉に誘引する可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
供試植物(チャ)の条件のよい8ー9月に、供試昆虫(ハマキコウラコマユバチ)の飼育状態が思わしくなく、予定していた実験が十分には出来なかった。そこで、来シーズンに飼育状態のよい昆虫を供給したい。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度の夏シーズンにおいて、チャ、寄主(チャノコカクモンハマキ)、寄生蜂(ハマキコウラコマユバチ)の3者の状態をベストな状態に調整し、ハマキガの茶葉への産卵による誘導、その表面物質の回収分析・生物検定を行う方針である。それにより、今までの遅れを取り戻すことが出来ると考える。
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