2020 Fiscal Year Annual Research Report
Control of root-associated microbiome by a beneficial fungus for plant growth promotion
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20H02986
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
晝間 敬 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (20714504)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 共生糸状菌 / 植物栄養 / マイクロバイオーム / Colletotrichum / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、共生糸状菌Colletotrichum tofieldiae (Ct)とCtが感染した根から単離された細菌集団が窒素欠乏環境で協調的に発揮する植物生長促進機構の理解をCtによる細菌群の潜在的な寄生性の抑止の観点に特に着目して目指している。初年度は、Ctとともに窒素欠乏条件下で協調的に植物生長を促す10種類の細菌群の個別菌株の解析をメインに進めた。 第一に、細菌を個別に植物に感染させた際に、細菌群の中には単独で植物生長を促すものも、逆に,著しく阻害するものも、対照的な感染様式を示す細菌が含まれていることが判明した。また、窒素欠乏条件で植物生長を促す菌株の中には、リン枯渇条件では植物生長を阻害するものも存在することが判明した。このことから、栄養枯渇条件で植物生長を促す集団は、単独では共生菌として振る舞う細菌だけではなく、栄養条件依存的に病原菌として振る舞う細菌も含まれた集合体であることが考えられた。 第二に、10種類の細菌群の高精度な全ゲノム情報をPacbioおよびIlluminaのシークエンシングにより取得した。10種間の比較ゲノム解析により、A10株においてアミノ酸などの分解や利用に関する遺伝子群が多く存在していることが判明した。これは、A10株が窒素が欠乏した環境で植物生長を他の菌株と比較して著しく促進する性質とも一致した。 第三に、Ctと細菌群による協調的な植物生長促進基盤を探索する目的で、Ctと細菌群が感染したシロイヌナズナの根からRNAを抽出して、RNAseq解析に供した。シークエンスデータを取得し、現在、その解析に着手した段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
着実に前進したものの、11月に所属機関を異動したことにより、異動の前後で予定していた実験を行うことが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
予定していた実験の内、昨年度に行えたものに関しては予想通りの結果が得られている。一方で、特に、Ctと細菌群の根圏での存在比率と植物生長促進促進の度合いとの関連性を調査することやCtと細菌群による植物生長促進基盤の理解につながるRNAseqの詳細な解析を昨年度は行えなかったため、今年度中にその遅れを取り戻しつつ未着手の実験項目を進めていきたい。
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Research Products
(5 results)