2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the saliva-assisted pathogen transmission mechanism in the tick vector
Project/Area Number |
20H03001
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
八田 岳士 北里大学, 医学部, 准教授 (00455304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田仲 哲也 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 教授 (00322842)
藤田 修 国立感染症研究所, 獣医科学部, 主任研究官 (20260276)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フタトゲチマダニ / マダニ媒介感染症 / SAT / ワクチン / 唾液腺 / RNAi |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトからヒトまたは動物からヒトに感染症を伝播する能力をもつベクターは、吸血時に宿主体内へ注入する唾液が宿主免疫系を抑制的に制御し病原体伝播を促進する。研究代表者は、ベクターの中でも蚊に次いで多種多様な病原体を媒介するマダニの唾液分子ロンギスタチンに、皮膚炎症抑制効果が実際に存在することを示してきたが、SAT現象の存否については解明できていない。そこで今回は、マダニ刺咬部の微小環境における唾液・宿主免疫系・病原体の三者間のインタラクトームに着目し、宿主免疫系に作用する唾液分子について、in vitroの免疫細胞実験やRNA干渉による遺伝子抑制マダニを使ったin vivo解析による分子機能解析を通して網羅的に同定する。ついでマダニ媒介感染症マウスモデルにて、マダニからの伝播試験を実施し、唾液分子におけるSAT効果の有無について検討し「マダニSAT理論」の構築を目指す。 初年度では、これまでに培ったフタトゲチマダニ唾液腺トランスクリプトームの解析結果よりマダニの各吸血期(吸血初期、中期、後期)において特徴的に発現が昂進する遺伝子をそれぞれ2,1,および3種類見出している。各時期においては宿主由来の免疫反応に抵抗する唾液物質が注入されているものと期待される。実際、吸血部位の病理組織学的解析を行ったところ、マウス皮膚のマダニ吸血部位には大量の白血球の集簇が確認できたもののT細胞を見出すことはできなかった。これらの結果はマダニ唾液における宿主免疫を抑制しうる重要な機能を有している物質が存在しているものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は段階的に研究を遂行し、マダニの吸血部微小環境において重要な機能を有する新規唾液物質を見出し、マダニ媒介感染症との関連について考察することを目的としている。本年度の成果として、吸血中期に発現する唾液腺遺伝子についてリアルタイムRT-PCR解析を終え、試行的に行った一種類の機能未知な遺伝子のRNAiにより、吸血の阻害が生じることが見いだされたが、詳細な解析は現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
下の研究を予定しているが、進行状況によっては前後して行うことも想定される。1)「Normal RNAi 解析」:マダニ唾液分子候補についてcDNA全長を取得し、配列特異的な二本鎖RNA(dsRNA)を合成する。dsRNAをマダニ血体腔へ顕微注入し、24時間後マウスへと放虫する。吸血途中に皮下刺咬部において炎症が惹起されると、マダニは不完全飽血に至り、飽血時体重が有意に減少する。このような表現型を指標に、さらに解析対象遺伝子を約5個程度に選抜する。 2)「皮膚病理学的解析」:上記選抜遺伝子のRNAiにおけるマダニ吸血マウスについて、背部皮膚の病理学的解析を行う。マダニ刺咬部を中心として、どのような炎症細胞が浸潤・集簇しているか、どのような病態を呈しているか、細胞表面マーカー特異的モノクローナル抗体を用いて、免疫組織学的に検証する。 3)「bite site インタラクトーム解析」:刺咬部周囲皮膚における免疫担当細胞の多寡については、マウス皮膚小片のコラゲナーゼ消化とパーコール密度勾配遠心により白血球を分離し、細胞表面マーカー特異的モノクローナル抗体を用いたフローサイトメトリー解析によって検討する。また、それら免疫担当細胞が産生するTNF-aなどの各種サイトカインの発現状況について、RT-qPCRやウェスタンブロッティング-デンシトメトリー法により検討を行う。さらに、マダニ唾液分子と宿主免疫細胞との相互関係を明らかとするため、マダニ唾液分子組換え蛋白質を作製し、マウスのマクロファージなど免疫担当細胞に対する直接的あるいは間接的刺激を行い、各種サイトカイン、インテグリンなどの細胞表面接着分子、活性酸素種ROSの発現レベルの変化を検討し、唾液分子の免疫担当細胞に対する分子機能をin vitroにおいても解析する。
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Research Products
(3 results)