2020 Fiscal Year Annual Research Report
Pause is the driving force? Actual measurement of a phloem transport model considering the diurnal cycle of sink and source
Project/Area Number |
20H03030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
檀浦 正子 京都大学, 農学研究科, 助教 (90444570)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 師液流モデル / 森林炭素循環 / 13Cパルスラベリング / シンクソース / 日周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では1) 師液流速を13C ラベリングにより実測し、駆動力であるソースとシンクの圧力差を推定し、日変動するのかを検証する。また2) ソースである葉に13C ラベリングを適応し、葉から師液への光合成産物の流入の日周期を評価し、3)シンクである幹と根の成長と呼吸をモニタリングする。そして、日周期を考慮にいれた師液モデルを検証し、高木における師液輸送の仕組みに迫る。 初年度は、桐生ヒノキ林において、気象観測用タワーの近傍の樹高20.4mのヒノキを対象木とし、2高度において、マイクロデンドロメータの設置を行い、師部と木部の日変動の測定を開始した。4高度で幹呼吸用のチャンバーを設置し、レーザー式安定同位体測定装置(TDLS)と接続して測定を開始した。 また、細根観察用のスキャナを地面に埋設し、3台をパソコンに接続して自動撮影を開始した。同地点において、地温および土壌含水率の測定を開始した。 師液流速に日変動があるのか、を13C ラベリングにより実測するために、10月に、対象に秋にラベリングを実施した。1週間程度の間をあけて、夕方(15:25)、朝(8:50)、昼(11:45)の3回行った。3回目は2回目のシグナルと重なる部分が多く解析が難しかった。次回から期間をなるべく開けての2回とする。対象木の幹の4高度に設置した呼吸測定用のチャンバーにおける炭素安定同位体比から、実際の炭素移動速度を計測することができた。この実測された師液流の速度は0.12-0.25 m h-1であり、同じ部位を通る速度が時間帯によって異なった。対象木のような20mを超えるヒノキ高木では、光合成産物が幹を通り地際に到達するまでおよそ150時間(6日)かかることも示された。対象木で同時に測定された水ポテンシャルのデータの提供をうけ解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
センサー類の設置やスキャナの設置を終えることができ、秋に13Cパルスラベリングを実施することができた。その結果、師液流速が昼間と夜間では違いそうだということが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、季節ごとのシンク器官の要求度の違いや、温度の違いによる師液の粘性の違いを考慮にいれるため、春(4月)、初夏(6月)、夏(肥大成長が終わってから)13Cパルスラベリングを行う。朝と夕方の二回行うことで、師部輸送の速度に日変動があるかどうかを評価する。毎回高度別にマイクロコアを用いて樹皮のサンプリングを行い、師部の通道面積を評価する。3月に再度設置したマイクロデンドロメータによる師部厚と木部の測定を継続する。またスキャナの画像を解析し、伸長速度に日変動があるかなどを評価する。データをもとにモデルの構築を開始する。 当初計画ではモデルに関して海外研究者と打ち合わせを行う予定であったが、新型コロナの影響で実現は難しいことが予想される。必要に応じて、メールやオンライン会議ツールなどを用いて議論を深める。
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