2021 Fiscal Year Annual Research Report
汎用性および実用性を高める新たな樹木ゲノム編集技術の確立
Project/Area Number |
20H03037
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
西口 満 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (80353796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 真義 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40414479)
宮澤 真一 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (10578438)
田原 恒 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70445740)
遠藤 真咲 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (40546371)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 遺伝子組換え / ゲノム編集 / 樹木 / スギ / ユーカリ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、樹木のゲノム編集技術の汎用性および実用性を高めるために、新たなゲノム編集技術を確立する。具体的な研究目的は、①ポプラ・スギ以外の樹木へゲノム編集技術を拡大するためのユーカリのゲノム編集技術の開発、②交配による非組換え型ゲノム編集スギへの転換技術の開発、③樹木(スギ)の複数の性質(遺伝子)を同時にゲノム編集するためのマルチプレックスゲノム編集技術の開発である。本年度は、ユーカリ(Eucalyptus camaldulensis)のフィトエン不飽和化酵素(PDS3)遺伝子をゲノム編集するため、前年度に作成したゲノム編集用のバイナリーベクターをアグロバクテリウム(Agrobacterium tumefaciens EHA105株)に導入した。ユーカリ種子を発芽させた芽生えの頂芽、子葉、根を切り落とし、残った胚軸にアグロバクテリウムを感染させ、形質転換した。アグロバクテリウムを除菌した後、カナマイシン存在下で胚軸を培養し、細胞の増殖、シュートの再分化の過程を経て、ユーカリの植物体を再生させた。再生したユーカリの一部を破砕し、PCR法でカナマイシン耐性遺伝子の存否を調べたところ、カナマイシン耐性遺伝子を持つ遺伝子組換えユーカリがあった。CjACOS5遺伝子をゲノム編集した無花粉スギと非組換えのスギ品種(信夫、クモトオシ)を交配して得られた種子(F1)を発芽させ、育成した。F1植物の葉を破砕し、カナマイシン耐性遺伝子およびCjACOS5遺伝子を調べた結果、カナマイシン耐性遺伝子を持たず、CjACOS5遺伝子に変異を持つ非組換え型ゲノム編集スギが存在した。F1植物同士を交配するため、夏季にF1植物にジベレリンを散布し、花成誘導を試みた。しかし、個体が小さかったためか、雄花・雌花がほとんど着花せず、交配実験を行うことはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2年目の研究目標であった、ゲノム編集スギと非組換えスギの子F1同士の交配は、おそらくF1植物がまだ小さかった(ジベレリン処理時の樹高は5cm程度)ため花成が十分に進まず、雄花・雌花がほとんど着花しなかったので交配することができなかった。そのため、研究目的②交配による非組換え型ゲノム編集スギへの転換技術の開発については、当初予定よりも1年後ろ倒しとなる。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した遺伝子組換えユーカリのPDS3遺伝子を解読し、ゲノム編集による変異が生じているかどうかを調べる。非組換え型ゲノム編集スギへの転換技術については、F1植物をさらに育成して、花成を誘導し、交配実験を行う。マルチプレックスゲノム編集ベクターを、スギの不定胚形成細胞に導入する。
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