2021 Fiscal Year Annual Research Report
Control of both the pathogen and the vector in pine wilt disease by the symbiotic bacteria of entomopathogenic nematodes
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20H03038
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
前原 紀敏 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (20343808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 克典 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40343785)
高務 淳 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (80399378)
小澤 壮太 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (10753139)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マツノマダラカミキリ / マツノザイセンチュウ / 微生物的防除 / 昆虫病原性線虫 / 共生細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、マツ林土壌から、マツノマダラカミキリに殺虫活性を示す新たな昆虫病原性線虫は得られなかったため、その場合に予定していた通り、以下の項目は昨年度収集した昆虫病原性線虫を用いて行った。 マツノマダラカミキリ幼虫に対して強い殺虫活性を示す昆虫病原性線虫、その線虫の感染により赤色を呈して死亡したマツノマダラカミキリ幼虫、及びマツノマダラカミキリ健全幼虫から細菌を検出し、遺伝子解析法でそれぞれの細菌叢のデータを得たところ、昨年度の予備実験と同様に前2者で細菌叢の重なりが大きく、その中に昆虫病原性線虫の共生細菌が含まれると考えられた。そこから主要な2種を選抜・分離し、形態および遺伝子解析法により、Photorhabdus属とPseudomonas属の細菌であると同定した。予備的な経口感染実験により、両属の細菌ともマツノマダラカミキリの幼虫と成虫に殺虫活性を示した。従来の研究では、共生細菌は昆虫病原性線虫に昆虫の血体腔に運んでもらって初めて殺虫活性を示すと言われていたが、今回、共生細菌が単独で経口感染による殺虫活性を示すことを明らかにした。また、Photorhabdus属細菌の感染により死亡したマツノマダラカミキリ幼虫は赤色を呈したため、昆虫病原性線虫の感染により死亡した幼虫が赤くなるのはPhotorhabdus属細菌のせいであることが分かった。さらに、遺伝子解析により、両属の細菌とも複数の殺虫活性物質遺伝子を持つことを解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究実施計画①「マツノマダラカミキリに殺虫活性を示す昆虫病原性線虫の探索」に関して、新たな昆虫病原性線虫は得られなかったため、その場合に予定していた通り、計画②「昆虫病原性線虫の共生細菌の分離・同定、及びマツノマダラカミキリに対する共生細菌の殺虫活性の解明」は前年度に収集した昆虫病原性線虫を用いて研究を進めた。そして、共生細菌の分離・同定及び殺虫活性の解明を行い、計画②を達成した。さらに、当初の計画にはなかった成果として、共生細菌が複数の殺虫活性物質遺伝子を持つことも解明できたため、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた共生細菌2種がともに、予備的な経口感染実験によりマツノマダラカミキリの幼虫と成虫に殺虫活性を示したため、現時点では一方に絞らず両種を使って今後の研究(マツノマダラカミキリに対する殺虫活性を調べる経口感染実験およびマツノザイセンチュウに対する殺線虫活性を調べる共存実験)を進めていく。
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Research Products
(1 results)