2020 Fiscal Year Annual Research Report
地上部植生と地中レーダを用いて広葉樹林における根の崩壊防止力を知る
Project/Area Number |
20H03040
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Research Institution | Hyogo Prefectural Technology Center for Agriculture, Forestry and Fisheries |
Principal Investigator |
山瀬 敬太郎 兵庫県立農林水産技術総合センター, 森林林業技術センター, 管理研究者 (90463413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 東子 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10353765)
大橋 瑞江 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (30453153)
堀田 紀文 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (00323478)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 崩壊発生源 / 広葉樹林 / 植生 / 樹木根 / 地中レーダ法 / Wuモデル / 伐採 / 萌芽再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
兵庫県六甲山系の崩壊地と未崩壊地を含む小流域内のアカマツ-モチツツジ群集を調査地とし、各樹種が持つ“根直径と本数のヒストグラム”を掘削法により取得するとともに、樹種ごとの根直径と本数情報を地中レーダ(GPR)法により取得を試みた。予備調査として、調査地周辺の植生データベースからアカマツ-モチツツジ群集で常在度の高い(すなわち、普遍的に出現する)11種(高木種4種、小高木種4種、低木種3種)を選定し、そのうち既存の根分布データベースがある6種(高木種アカマツ(クロマツ)、コナラ、小高木種ネジキ、リョウブ、低木種イヌツゲ、ヒサカキ)について、各樹種の“根直径と本数のヒストグラム”を比較した。ヒストグラムの分布の形に差があり、検出根の樹種別分配の可能性が高いと判断したアカマツとヒサカキを選定した。これら2樹種の立木間中央30箇所でレーダ探査を行い、探査後に断面掘り取りにより探査波形と照合するための根分布及び直径データを取得するとともに、従来モデル(Wuモデル)を用いて立木間中央における樹種別の崩壊防止力を推定した。さらに、“根直径と本数のヒストグラム”作成用にサイズの異なるヒサカキ6個体を丸ごと掘り取り、地上部のサイズとバイオマス量、地下部のバイオマス量を測定した。 また、コナラが優占する広葉樹林(49-71年生)を伐採し、伐採直後から伐採後3年目までのコナラ根株を掘り取り、経過年数に応じ樹木根の分布と強度を測定し、樹木根による斜面安定効果を試算した。その結果、樹木根の強度低下による土壌緊縛力の変化に伴い、伐採後3年を経過した斜面安定度は、伐採直後と比べ萌芽再生している場合は7-8%減少し、特に根株が枯死した場合は約20%減少していた。コナラ伐採後に根株から萌芽再生していても、地下部の樹木根は順調に成長しているとは限らないことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的の一つであるGPR法による複数樹種の探査、および“根直径と本数のヒストグラム”作成用のサンプル取得を行っており、探査波形との照合や樹種別ヒストグラムによる検出根の樹種別分配などの解析に向けて、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
掘削により取得したヒサカキの“根直径と本数のヒストグラム”を活用し、検出根の樹種別分配を行うとともに、GPR法による樹種別分配の可能性を探る。また、根系の強度や構造が異なる2樹種以上の崩壊防止力モデル(VegetationRB(VeRB)モデル)を構築するとともに、GPR法+VeRBモデルの組み合わせによって、崩壊発生源で根系による崩壊防止力が低い危険領域の抽出に取り組む。
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