2022 Fiscal Year Annual Research Report
Clarification of carbon allocation within tree stem by 13CO2 pulse labeling and development of a radial growth model
Project/Area Number |
20H03041
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
安江 恒 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (00324236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香川 聡 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40353635)
半 智史 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40627709)
斎藤 琢 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (50420352)
檀浦 正子 京都大学, 農学研究科, 准教授 (90444570)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 炭素配分動態 / 肥大成長 / フェノロジー / 13CO2ラベリング / 生態系炭素循環モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に光合成産物の肥大成長への配分過程の季節変動をあきらかにするための13CO2パルスラベリング実験を行った。2020年度にラベリングを行ったカラマツについて,伐採後に年輪内への13Cの配分を調べたところ,成層活動が盛んな時期の光合成産物は直ちに分化中木部の細胞壁肥厚に用いられ,形成層停止中あるいは再開直後の光合成産物は一旦貯蔵されたうえで用いられることが示唆された。常緑のスギと較べて,形成層停止中あるいは再開直後の光合成産物について,木部において検出されるδ13C値が非常に小さいことからこの時期の光合成産物は樹幹の肥大成長以外の部位に多く配分されている可能性がある。 2021年度に採取したカラマツとスギの試料を用いて、デンプンと可溶性糖の含有量の樹幹放射方向および季節変動について解析を実施した。その結果、可溶性糖含有量ついては、カラマツとスギで同様の変動パターンを示したが、カラマツの方が変動が大きかった。さらに、デンプン含有量については、カラマツでは6-9月に増加するものの、スギでは減少するなど異なる変動パターンを示した。 第二に,樹体内バイオマス成長量を観測するために,樹幹においてはナイフマーキング法による肥大成長経過の観測を継続した。スギ,カラマツを対象に,スキャナ法による細根成長量について定期的に取得した画像の解析をすすめ、カラマツとスギの根フェノロジーを解析した。カラマツでは春季の成長開始時に一斉に伸長していることや、スギは比較的ゆるやかに増加していた。 第三に,生態系モデル(BiomeBGCMuSo6.0.3)を利用して、高山常緑針葉樹林サイトにおける1990年から2013年のスギ林における年間の幹バイオマス成長量の試算を行い、年輪データに基づいたバイオマス成長との比較を行った(R2=0.20)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度において,カラマツのパルスラベリング実験において,6月以降落葉病が発生したために夏季におけるラベリング実験が実施出来なかったことから,これらの項目においては,およそ一年間の遅れが生じている。これら以外の観測および検討については順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020-2022年度にラベリングを行った全ての個体を伐採し,年輪内のδ13C値を測定すると共に,器官量の測定も行い,モデルへの取り込みを可能とする。細根の伸長量についてはAIプログラムを併用して、効率的にすべてのスキャナ地点での解析をすすめ、より一般的な傾向を明らかにする予定である。 生態系モデル(BiomeBGCMuSo6.0.3)を利用して、器官への配分の季節変動を考慮した幹バイオマス成長量の試算を行う。年輪データに基づいたバイオマス成長との比較を行い,生態系モデルの改良を図る。
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Research Products
(8 results)