2020 Fiscal Year Annual Research Report
Ultra-weak photon emission due to fungal wood decay by brown rot fungi and the possible application aiming for wood preservation
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20H03051
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
西村 健 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (10353799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 祐子 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (60343802)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 褐色腐朽菌 / 木材腐朽菌 / オオウズラタケ / バイオフォトン / 微弱化学発光 / 発光メカニズム / フェントン反応 / PCR |
Outline of Annual Research Achievements |
研究開始初年度にあたり,現有ケミルミネッセンスアナライザー(発光量単位:光子数に基づくcps:counts per second)とR2本課題予算にて導入したルミノメーター(発光量単位:RLU :Relative Light Unit)について,ルミノール及びルシフェラーゼの希釈系列を用いてRLU-cpsの対応関係を把握し,さらに蛍光モジュールを用いた蛍光測定により木材に元来含まれる蛍光ノイズ(スギ・ブナ健全材およびオオウズラタケ腐朽材を供試,腐朽によって増大)を把握する等の準備を実施した。褐色腐朽菌におけるフェントン反応(Fe2+ + H2O2 → Fe3+ + OH- +・OH)の存在を想定した糖の酸化的分解による発光仮説を検証するために,セロオリゴ糖を基質とした糖分解のモデル反応系を構築した。既往文献(2001 渡辺ら)を参考に反応条件を検討した結果,4mM セロテトラオース/20mM Fe2SO4/4.4 mM H2O2 (1ml H2O)の条件下,比較的速やかに基質の分解反応が進行する事が判明した(2時間で基質のおよそ半数程度が分解)。さらに本反応系は微弱光の放出を伴って進行し,その発光強度は2時間後にピークに達し(100cps程度)その後低下した。これはオオウズラタケ腐朽試験体表面(2x2x1cm)から観測される微弱発光強度と概ね同程度のオーダーである事が判明した。PCRによる腐朽菌の検出については,JIS K1571に従い作製したオオウズラタケ-スギ腐朽試験体を用いた(12週間培養)。①oven乾燥・重量測定後,ミルで粉砕し質量減少率を把握(17%),②凍結破砕のみの2条件により木粉化し,2種の検出キット(DNeasy Plant Mini Kit, PowerSoil DNA Isolation Kit)を用いたPCRによってバンドを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究環境が概ね整備され,発光仮説を検証するための足がかりとなるフェントン反応をベースとしたモデル反応系を構築した。さらに腐朽試験体からのPCRによるオオウズラタケの検出等も実施し概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
フェントン反応をベースとしたモデル反応系の1つを構築し,微弱ながらも発光が確認された。但しその反応条件は自然界で想定される生化学反応と比較しシビアと考えられ,条件のより穏和な系の確立が必要である。次年度以降の方策として,腐朽に伴い木材成分はカルボニル量の増大等様々な酸化を受ける事も鑑み,発光ポテンシャルが比較的高いと考えられる酸化修飾を施した基質モデルを用いたモデル反応系の構築を検討する。腐朽木片からのPCRによるオオウズラタケの検出については,検出感度の詳細な検討を行う。具体的には2種の試料を用い(①質量減少率の異なる腐朽試験体から作製した木粉試料、②健全材木粉/菌体の様々な割合の混合試料),腐朽木片中の菌体量ならびに腐朽の進行程度を指標とした検出限界を把握する。
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