2021 Fiscal Year Annual Research Report
鰓上皮抗原取込細胞の選択的な抗原取込機序の解明とワクチンデリバリーへの応用
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20H03061
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
加藤 豪司 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (50624219)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 魚類免疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、GAS細胞により選択的に取り込まれる細菌種を同定するために、A.s.s.、Escherichia coli、Fravobacterium phycrophilum、Streptococcus iniaeおよびV anguillarumを用いた浸漬投与試験を行った。A.s.s.浸漬区およびV.anguillarum浸漬区では、2B4-1+/UEA-1+で識別されるGAS細胞画分において、70.5 %および73.2 %の細胞が不活化菌体を取り込んだ。一方で、S. iniae浸漬区ではGAS細胞のうち49.1 %が、E. coli浸漬区では0.50%が、F. phycrophilum浸漬区では6.6 %の細胞がこれら不活化菌体を取り込むことがわかった。 A.s.s.のフィンブリン構成分子であるFimFおよびTapBは、本菌が宿主に感染する際の細胞接着に関与することが示されている。そこで、これらフィンブリン構成分子の組換えタンパク質を作製し、蛍光ビーズに結合させた。しかし、2B4-1+/UEA-1+で識別されるGAS細胞画分では、FimFおよびTapB修飾蛍光ビーズの取り込みは認められなかった。 以上のことから、GAS細胞はA.s.s.およびV. anguillarumを盛んに取り込み、S. iniaeについてもある程度取り込むことが明らかになった。一方で、E. coliおよびF. phycrophilumは取り込まないと考えられ、GAS細胞による抗原取り込みには選択性があることが示された。また、A.s.s.のフィンブリン構成分子であるFimFおよびTapBはGAS細胞の選択的抗原取込には関与しないと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
I型線毛およびIV型線毛の構成タンパク質FimFおよびTapBについて組換えタンパク質を作製し、それらを就職したビーズを用いて取込試験を行ったが、両者とも取込は確認できなかった。組換えタンパク質の作製に時間を要してしまい、効率の良いレセプタースクリーニングが行えていないことからやや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまではリガンド候補となる細菌側のタンパク質について、組換えタンパク質を作製することによりGAS細胞側のレセプターを探索してきたが、難航している。そこで、本年度は、まず細菌の総膜タンパク質を抽出し、それを蛍光ビーズに結合させて、取込試験を行うことを予定している。上記の実験で取込が確認されるようであれば、組換えタンパク質の作製が難しかった候補分子の欠損金株を作製し、リガンドの同定を行う。
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