2021 Fiscal Year Annual Research Report
生物時計が調節する魚類の免疫リズムの解明 ~感染症の防除を目指して~
Project/Area Number |
20H03064
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
河野 智哉 宮崎大学, 農学部, 准教授 (60527547)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 魚類 / 免疫関連遺伝子 / 概日リズム / 時計遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で、時計遺伝子の機能を詳細に理解するために、ゲノム編集技術CRISPR / Cas9システムを用いて、時計遺伝子Bmal1およびRORaノックアウト(KO)メダカの作出を試みた。各時計遺伝子KOメダカ(F2)について、ヘテロ二本鎖移動度分析 (HMA)およびシーケンシングによって変異を確認したところ、1) Bmal1-KOメダカにおいては、Bmal1遺伝子のエキソン配列上に16塩基の挿入が生じており、フレームシフトによって機能ドメイン(PAS-A, PAS-B)を欠損していることが確認された。また、2) RORa-KOメダカにおいては、RORa遺伝子のエキソン配列上に11塩基の挿入が生じており、フレームシフトによって機能ドメイン(DBD, LBD)を欠損する変異が認められた。続いて、各時計遺伝子KOメダカの雌雄(F2)を掛け合わせ、F3ホモ個体の作出を試みたが、目的とする個体は得られなかったため、当該実験は次年度も継続して行う。 KOメダカ作成の進捗が思わしくなかったため、令和4年度に計画していた実験の一部を前倒しし、異なる時間帯での病原体感染に対する免疫応答について検討した。メダカに病原細菌Edwardsiella piscicidaを明期(ZT4, ZT8)または暗期(ZT16, ZT20)に感染させたところ、明期感染区の死亡率は暗期感染区と比べ低い傾向を示した。また、明期病原体感染区(ZT8)の炎症性サイトカイン遺伝子(il6, il8, il17a/f1, il17a/f2)の発現応答は、他の感染区と比べ顕著に高いことが確認された。さらに、明期感染区の貪食活性は暗期感染区と比べ有意に高かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究室(メダカ飼育施設)の引っ越しによって、時計遺伝子KOメダカ(F2個体)が調子を崩し、KOホモ個体の作出が行えなかった。水質の確認、飼料・ろ過設備の検討を行い、現在はF3個体の産卵が順調に進んでいる。令和4年度中には時計遺伝子KOホモ個体を作出し、時計遺伝子による免疫制御を明らかにするための種々の実験に着手する。現在、令和2-3年度の研究成果をまとめた論文を学術誌に投稿中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
時計遺伝子KOメダカ(ホモ)の作出を完了し、トランスクリプトーム解析によって、時計遺伝子が転写を制御する免疫分子を明らかにする。続いて、当該分子の発現リズムを明らかにし、時間帯別免疫刺激に対する発現応答について検討する。さらに、免疫刺激や病原体感染に対する免疫応答を、時計遺伝子KOメダカと野生型メダカで比較し、時計遺伝子による免疫制御機構を詳細に検討する。
|
Research Products
(5 results)