2020 Fiscal Year Annual Research Report
底質汚染の視点で考える環境調和型養殖システムの構築‐養殖環境の抜本的解決のために
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20H03069
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
伊藤 克敏 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(廿日市), 主任研究員 (80450782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 龍平 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, チームリーダー (10447419)
羽野 健志 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(廿日市), 主任研究員 (30621057)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | クルマエビ / 毒性試験 / 底質浄化 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は初年度であり基盤となる毒性試験法の確立に取り組んだ。具体的には、底質汚染がより直接的に影響を及ぼすことが想定されるクルマエビを用いて、底質汚染が底生生物に及ぼす影響について検討した。その結果、クルマエビの成長は、底質汚染濃度が高いほど抑制される傾向が認められた。また、汚染底質で飼育したクルマエビのストレスマーカーを測定した結果、スーパーオキシドディスムターゼ活性が有意に増加するとともに、還元型グルタチオンが有意に減少しており、底質汚染がクルマエビに酸化ストレスを与えていることが示唆された。さらに底質メタボローム解析により70の代謝物が同定され、汚染度合いの違い及びクルマエビの有無により代謝物に差異が認められた。底質汚染の指標である酸揮発性硫化物量と各代謝物の相関を検討した結果、全体の50%の代謝物に相関が認められ、底質メタボローム解析の新たな底質診断技術としての可能性が示唆された。令和2年度は、予定していたマダイではなく、クルマエビを用いて実験を実施したが、本課題結果を迅速にクルマエビ養殖業者に説明することにより、給餌方法の検討など、来年度のクルマエビ養殖の参考データとして現場に還元できた。このことは、課題実施1年目としては、非常に大きな成果であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の状況のもと、出張の制限など様々な制約の中、課題を実施した。研究打ち合わせ等、web上で対応できる事柄については、柔軟に対応した。また繰り越し制度を活用して、試験をほぼ予定通り実施し、想定していた研究成果を得ることが出来できたことから自己評価を【(2)おおむね順調に進展している】とした。
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Strategy for Future Research Activity |
確立した底質毒性試験系を用いてマダイの毒性試験を実施する予定である。
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