2020 Fiscal Year Annual Research Report
卵黄栄養依存から採餌行動への移行を司る魚類神経メカニズムの解明
Project/Area Number |
20H03071
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
馬谷 千恵 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (60779346)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 真司 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (50634284)
古川 史也 北里大学, 海洋生命科学部, 講師 (80750281)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 真骨魚類 / 発達 / 神経科学 / 代謝 / 生理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
魚類に代表される卵生動物は、卵黄を有する期間は体内栄養に依存して発育するが、卵黄が退縮すると体外に存在する餌を求める採餌行動を示すようになる。この採餌行動への移行に問題がある個体は死亡もしくは成長不良を引き起こすことが報告されている。ところが、「卵黄が退縮したことを検知して採餌行動を誘導する、生存に重要な分子メカニズム」は今日まで明らかとされていない。そこで本研究では、真骨魚類の一種のメダカをモデルに、電気生理学・遺伝子工学・生化学を組み合わせた手法を用いて、この問いの解明を目指す。これまでに、卵黄を除去した胚や卵黄抽出物を用いた解析により、卵黄のあるなしを検知して、脳で発現が変動する神経ペプチドの同定に至っている。特に本年度は、卵黄の退縮という飢餓を脳へ伝える卵黄成分の探索と、卵黄に応答する神経細胞の神経活動を測定するためのメダカの作出を試みた。まず、卵黄の退縮という飢餓を脳へ伝える卵黄成分を明らかにするために、魚が採餌を始めるステージを同定するとともに、その前後における卵黄成分の変動を解析した。現在得られた候補からの絞り込みを進めている。また、卵黄に応答する神経細胞の神経活動を測定するための魚については、細胞内カルシウム濃度で蛍光強度が変化するGCaMPを発現するメダカを作出した。すでに、in vitro全脳標本を用いたイメージングにより、リガンドに対して応答することを確認しており、卵黄依存性について、今後解析を進めていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に必要な実験系が確立してきており、行動変化に関わる卵黄成分の探索に必要なデータがそろいつつあるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
卵黄成分の解析を進めるとともに、イメージングや行動解析を進める。
|
Research Products
(4 results)