2020 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms of tunic softening in Halocynthia roretzi infected with a pathogenic flagellate, Azumiobodo hoyamushi
Project/Area Number |
20H03074
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
北村 真一 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 准教授 (40448379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 裕一 琉球大学, 理学部, 教授 (30241772)
柳田 哲矢 山口大学, 共同獣医学部, 准教授 (40431837)
飯田 貴次 岡山理科大学, 獣医学部, 教授 (70159557)
仲山 慶 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 講師 (80380286)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マボヤ / 被嚢軟化症 / プロテオーム解析 / Azumiobodo hoyamushi |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はマボヤ被嚢軟化症の被嚢軟化機構に注目し、研究を進めている。これまでの研究結果から、被嚢の主成分であるセルロースは分解されていないことが分かった。本課題では、Azumiobodo hoyamushi(ホヤムシ)が分泌するプロテアーゼが被嚢タンパク質を分解することで構造が崩壊すると仮説を立て、それを検証する。個別の目的としては、被嚢のプロテオーム解析を行い、軟化に伴って減少するタンパク質を探索する。それを大量発現し、抗体を作製する。作製した抗体を用いて、健常個体と軟化個体の被嚢を免疫染色することで、そのタンパク質が軟化に関わっているかを確認する。一方、ホヤムシの培養液のプロテオミクスを行い、分泌性のプロテアーゼを探索し、大量発現する。最終的には、in vitroで被嚢切片または大量発現した被嚢タンパク質に合成プロテアーゼを作用させることで、軟化が再現できることを確認する。 昨年度は当初の予定通り、宮城県水産技術総合センターにて感染実験を行い、やや軟化および完全に軟化したマボヤを得た。これらの個体に加えて、対照区の健常個体から被嚢のタンパク質を抽出した。可溶性タンパク質については、蛍光ラベルし、2-D Fluorescence Difference Gel Electrophoresisにて、軟化個体で減少するタンパク質を調べた。有意に発現量が異なるスポットを10個選択し、ペプチド配列を取得した。また、不溶性タンパク質については、ショットガン解析で軟化被嚢において減少するタンパク質を半定量し、ペプチド配列を取得した。これらのプロテオーム解析の結果、ホヤムシがターゲットにしているタンパク質を完全に絞り込むことはできなかったものの、軟化個体の被嚢で減少する多くのタンパク質の同定に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大により、宮城県でのサンプリングが危ぶまれたものの、感染者数が減少したタイミングで調査を行うことができた。これらのサンプルを用いて、上記のように昨年度の予定をほぼ達成したため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の拡大のため、研究活動に厳しい制限が設けられているため、宮城県で行う研究は実施可能かどうか定かではない。そのため、予定にこだわることなく、実施可能な実験から適宜行う。特に、研究室で実施可能な、無細胞タンパク質発現系でタンパク質の発現をメインに進める。具体的には、同定したタンパク質のアミノ酸配列をマボヤゲノムのデータベースと照合し、塩基配列を探索する。得られた配列を参考にプライマーを設計、RT-PCRし、プラスミドを構築する。タンパク質の大量発現は、愛媛大学の学術支援センターを利用する。発現に成功した場合には、マウスで抗血清を作製し、次年度の実験ツールとする。
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