2020 Fiscal Year Annual Research Report
メタゲノミクスによる海綿における天然有機化合物生産機構の解明
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20H03080
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
末永 光 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (90357252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新家 一男 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (20251481)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メタゲノミクス / 海洋天然物 / 生合成遺伝子 / 海綿 / 共生微生物 / 難培養微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋生物である海綿からは、非常にユニークな構造からなる生理活性物質が単離されているが、その真の生産者は、共生する培養困難な微生物であることが知られている。本研究課題では、海綿に共生する培養困難な微生物が生産する医薬品候補化合物であるマンザミンを標的モデル化合物として、海洋動物に由来する生物活性物質の生産を担う微生物の同定、および生合成機構の解明を行う。海綿と微生物との共生関係を、生物活性化合物を鍵として紐解き、将来的に化合物の安定供給に繋げることを目指す。 申請者らはこれまでの海洋生物試料を用いた研究において、海洋生物に共生している微生物は、採取直後より激しいゲノムDNAの分解が惹起されていることを明らかにしている。マンザミンの構造から推定される生合成遺伝子サイズは 100 kb 前後あるいはそれ以上と予想されるため、高分子ゲノムDNAサンプルの調製が必須である。しかしながら、試料採集後に研究室に持ち帰り処理する従来のやり方では、良質なゲノム試料を得ることが出来なかった。そこで、申請者らが他の海洋生物において確立した手法を、海綿サンプルにも適用することにした。マンザミンを共通に生産する 2 種の海綿、Haliclona sp.ならびに、A. ingens を沖縄近海で採取した。次に、新鮮な海綿を採取後ただちに処理し、サンプリング地近郊の琉球大学において、共生微生物のゲノムDNAの精製を行った。この結果、海綿からの高品質な共生微生物メタゲノムDNAの取得に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目的の海洋生物の生息地である沖縄沿岸において、複数回のサンプリングおよび共生微生物ゲノムDNAの精製を実施する計画であったが、新型コロナウィルス感染症に伴う渡航規制のため、半数程度の実施に留まった。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた 2 種の海綿共生微生物メタゲノム DNA を次世代シーケンサーに供する。同時に、これまでに申請者らが放線菌において培ってきた手法を、海綿メタゲノム試料にも応用し、長鎖メタゲノム BAC ライブラリーの構築を行う。はじめに、新鮮な海綿より迅速に分取した微生物画分を直接ゲルに封入し、各種酵素処理を行う。続いてパルスフィールドゲル電気泳動により高分子の DNA を選択的に回収し、海綿共生細菌 メタゲノムライブラリーを構築する。
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Research Products
(1 results)