2021 Fiscal Year Annual Research Report
The modernization process of the use of common forests into robust institutions: a quantitative approach
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20H03088
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
林 雅秀 山形大学, 農学部, 准教授 (30353816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小井田 伸雄 岩手県立大学, 総合政策学部, 教授 (30363724)
脇野 博 岩手大学, 教学マネジメントセンター, 嘱託教授 (80220846)
高村 学人 立命館大学, 政策科学部, 教授 (80302785)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コモンズ / 近代 / 数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の活動として(1)近世および近代の秋田県および岩手県の資料収集と分析、(2)関連する全国的な官庁統計資料の整理、(3)数理モデル分析を行った。 (1)については、秋田県に関して、近世の林野所有を把握する資料収集を実施した。岩手県に関しては、前年度までに収集した資料に基づいて、分析可能なデータセットを作成した。(2)については、農林業センサスの慣行共有事業体統計、府県統計書、農商務省統計などの、近代の官庁統計資料を利用して、分析可能なデータセットを作成した。(3)数理モデル分析では、共用資源において外部性のあり方によって分割利用はまたは重層的利用のどちらかが効率的となる条件について分析を行った。 分析を進めた結果、(1)については、岩手県の近世資料を用いた分析によって、地方知行が行なわれていた盛岡藩では、村(近世の行政村)単位ではなく、知行所単位で林野の支配と利用が行なわれていた場合があったことなどが明らかとなった。(2)全国的な官庁統計による分析では、明治・大正期の部落有林野統一政策の過程で、公有林の立木地率が高い府県では統一以外離権が行なわれる傾向があることあることなどが明らかとなった。(3)数理モデル分析では、負の外部性が存在し、かつ、資源分割によって外部性が解消される場合には分割利用が効率的であること、負の外部性が存在し、かつ、資源分割によって外部性が解消されない場合には重層的利用が効率的であることが分かった。また、正の外部性が存在する場合には、いずれの場合でも重層的利用が効率的であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
近代化に伴う林野所有の変動に関して、「研究実績の概要」に述べたように、いくつかの重要な発見を得ることができた。ただし、当初の予定に反し、調査・分析を進める中で分析・整理すべき新たな資料の存在が明らかになったため、結果の取りまとめに際して分析対象の資料量が予想以上に膨大であることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究資料の整理とデータ分析のための期間を延長して実施することとした。
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Research Products
(1 results)